治療を続けることの重要性|合併症の費用
インスリン療法を自己判断で中断したり、血糖コントロールが乱れた状態が続いたりすると、糖尿病網膜症や糖尿病腎症、糖尿病神経障害といった合併症のリスクが高まります。合併症が進行すると、通常の治療費に加えて、レーザー治療や人工透析など、より高額な医療費が長期にわたって必要になることがあります。
たとえば人工透析が必要になった場合、医療費は月40〜50万円程度かかることもありますが、「特定疾病療養受療証」を保険者に申請することで、1医療機関あたりの自己負担額は原則として月1万円(標準報酬月額53万円以上など一定の所得区分では月2万円)まで軽減されます。さらに、身体障害者手帳の交付を受けた方は自立支援医療(更生医療)の対象となる場合があり、原則1割負担となるほか、自治体独自の医療費助成制度と併せて利用できることがあります。とはいえ、透析導入前の段階で適切な治療を継続し、合併症の進行を防ぐことが、医療費の負担や生活の質(QOL)の維持につながります。
■ 糖尿病網膜症(進行時)・主な治療内容:レーザー治療・眼科通院
・自己負担目安(月額):5,000〜20,000円
■ 糖尿病腎症(進行時)
・主な治療内容:腎機能検査・食事指導・投薬
・自己負担目安(月額):10,000〜30,000円
■ 人工透析導入後
・主な治療内容:週3回の血液透析
・自己負担目安(月額):10,000〜20,000円(特定疾病療養受療証適用・所得区分による)
※上記はあくまで目安です。受診する医療機関や検査内容・投薬内容により異なります。
編集部まとめ
1型糖尿病は、頻回注射法かCSIIか、CGMを併用するかによって月々の自己負担が変わり、目安として月1万5千円〜4万円程度が想定されます。加えて、診断直後の教育入院や合併症治療では一時的に費用が高額になることもありますが、公的な助成制度をうまく活用することで負担を抑えられます。
頻回注射法かCSIIかで月々の費用は異なり、目安は月1万5千円〜4万円程度
CGMは保険適用の条件を満たせば自己負担を大きく抑えられる
18歳未満(延長で20歳未満)は小児慢性特定疾病医療費助成の対象になる
医療費が高額になった月は高額療養費制度で自己負担の上限を超えた分が戻る
費用面の不安は、医療ソーシャルワーカーへの相談で解決できることが多い
1型糖尿病と診断されたら、治療方針だけでなく、利用できる助成制度についても主治医や医療ソーシャルワーカーに早めに確認しておくことが大切です。費用の見通しが立つだけでも、日々の治療は続けやすくなります。わからないことがあれば、遠慮なく聞いて問題ありません。
※本記事の情報は2026年7月時点のものです。診療報酬点数や公的制度の内容は改定される場合があるため、最新の情報は医療機関や自治体窓口でご確認ください。
参考文献
糖尿病情報センター「糖尿病とお金のはなし」
厚生労働省「小児慢性特定疾病対策の概要」
厚生労働省保険局「高額療養費制度の見直しについて」
診療報酬点数表 C101 在宅自己注射指導管理料(レセプト算定ナビ)
日本IDDMネットワーク「1型糖尿病に関わる高額な医療費負担の現状とその公的支援の必要性」

