脱水状態による血圧の変化に注意!メディカルドック監修医が低血圧の理由や逆に上昇する原因、夏に知っておきたい予防法について詳しく解説します。

監修医師:
小鷹 悠二(おだかクリニック)
福島県立医科大学医学部卒業 / 専門は循環器内科 / 2009/4月~2013/3月宮城厚生協会坂総合病院 / 2013/4月~2017/3月東北大学病院循環器内科・同大学院医員 / 2017/4月~2018/5月仙台オープン病院循環器内科医長 / 2018/5月~おだかクリニック副院長 / 診療所での外来業務に加え、産業医、学校医としての業務も行っている。
脱水とは?夏や寝起きに注意したい脱水症状

脱水とは、体の中の水分と塩分(電解質)が不足した状態です。人の体の約60%は水分でできており、水分は血液として酸素や栄養を運んだり、体温を調節したりする重要な役割を担っています。汗をたくさんかいたり、水分補給が不足したりすると、体内の水分が失われます。特に夏は気温が高く、多量の汗をかくため脱水になりやすい季節です。また、寝ている間にもコップ1〜2杯程度の汗をかくため、朝起きた直後も軽い脱水状態になっていることがあります。高齢者では喉の渇きを感じにくくなることや、腎臓の働きが加齢によって低下することから、脱水のリスクが高くなります。また、高血圧や心不全の治療で利尿薬を服用している人も注意が必要です。
次の項目に当てはまるものがあれば、脱水の可能性があります。
強い喉の渇きを感じる
尿の回数が少ない
尿の色が濃い黄色になっている
口の中が乾く
皮膚が乾燥している
立ち上がるとふらつく
頭がぼんやりする
体がだるい
汗を大量にかいた
朝起きたときに強い喉の渇きがある
2〜3項目以上当てはまる場合は、水分不足になっている可能性があります。特に、めまいや立ちくらみがある場合は、血圧が低下していることも考えられます。
脱水によって血圧が低下するのはなぜ?

血圧とは、血液が血管の壁を押す力のことです。この圧力を保つためには、十分な血液量が必要です。脱水になると、体の中の水分が減るため、血液中の水分も少なくなります。その結果、血液量(循環血液量)が減少し、心臓から送り出される血液の量も減ります。すると血管にかかる圧力が弱くなり、血圧が低下します。また、血圧が下がると脳へ送られる血液も一時的に不足しやすくなるため、立ちくらみやめまいが起こります。急に立ち上がったときに症状が強くなるのは、重力によって血液が足に集まりやすくなるためです。健康な人では、脱水傾向となった場合には自律神経が働いて血管を収縮させたり心拍数を増やしたりして血圧を保とうとします。しかし、高齢者や糖尿病、自律神経障害がある人では、この調節機能が十分に働かず、血圧が大きく低下することがあります。
脱水によって血圧が低下する原因
脱水で血圧が低下する主な理由は次のとおりです。
血液中の水分が減り、循環血液量が減少する
心臓から送り出される血液量が減る
脳へ届く血流が一時的に不足する
自律神経による血圧調節が追いつかなくなる
発汗によってナトリウムなどの電解質も失われる
特に高齢者では、これらの要因が重なりやすいため、夏場の脱水は転倒や失神の原因になることがあります。
脱水によって血圧が低下すると現れる症状とは
血圧が下がると、次のような症状がみられます。
めまい
立ちくらみ
ふらつき
強い疲労感
頭痛
冷や汗
動悸
吐き気
意識が遠のく感じ
失神
軽い脱水では、十分な水分補給で改善することもあります。しかし、症状が強い場合は点滴による治療が必要になることがあります。
受診すべき脱水による症状はある?
次のような症状がある場合は、早めの受診が必要です。
水分を飲んでも改善しない
意識がぼんやりする
歩けないほどのふらつきがある
尿がほとんど出ない
嘔吐を繰り返して水分が飲めない
高熱が続いている
胸の痛みや息苦しさを伴う
失神した
特に意識障害や胸痛、呼吸困難を伴う場合は、脱水だけでなく重い病気が隠れている可能性があります。ためらわず救急車を呼ぶことも検討してください。

