反対に脱水によって血圧が上昇することも

「脱水になると血圧は下がる」と思われがちですが、実は一時的に血圧が上がることもあります。脱水によって体内の水分が不足すると、体は血圧を維持しようとして自律神経(交感神経)やホルモンの働きを活発にします。その結果、血管が収縮し、心拍数が増えることで、一時的に血圧が高くなることがあります。また、血液中の水分が減ることで血液が濃くなり、流れにくくなることも血圧に影響します。このような状態では心臓への負担が増え、心筋梗塞や脳梗塞などの循環器疾患のリスクが高まる可能性があります。
脱水で血圧が急激に上昇する原因
脱水によって血圧が高くなる主な理由は次のとおりです。
交感神経が活発になり血管が収縮する
レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)が働き、血管収縮やナトリウム・水分の保持が起こる
抗利尿ホルモン(バソプレシン)が分泌され、水分を体内に保とうとする
血液が濃くなり、血流が悪くなる
暑さやストレスによって自律神経のバランスが乱れる
健康な人では体の調節機能によって血圧は一定に保たれますが、高齢者や高血圧のある人では変動が大きくなることがあります。
脱水によって血圧が高くなると現れる症状と受診の目安
血圧が高くなっても症状がないことは少なくありません。しかし、急激に血圧が上昇すると次のような症状が現れることがあります。
強い頭痛
めまい
顔のほてり
動悸
息切れ
胸の痛み
手足のしびれ
ろれつが回らない
視界がぼやける
これらの症状がある場合は、胸の症状であれば循環器内科、頭痛やしびれ・麻痺症状等であれば脳神経内科・脳神経外科などを受診しましょう。近隣に専門の医療機関がない、どこを受診したらよいか分からない場合には、内科の受診でも問題はありません(かかりつけ医がいる場合はまず相談しましょう)。特に胸の痛み、片側の手足の麻痺、意識障害、激しい頭痛を伴う場合は、心筋梗塞や脳卒中など命に関わる病気の可能性があるため、すぐに救急車を呼んでください。
脱水による血圧の乱れを防ぐための「予防法」

脱水は日頃の生活を少し工夫することで予防できることが多くあります。
こまめに水分を補給する
喉が渇いてから飲むのではなく、こまめに少量ずつ水分を補給しましょう。特に起床後、入浴前後、運動前後、就寝前は意識して水分を摂ることが大切です。
大量に汗をかいたときは塩分も補給する
汗とともにナトリウムなどの電解質も失われます。大量に汗をかいた場合や熱中症が疑われる場合には、水だけでなく経口補水液を利用すると、水分と電解質を効率よく補給できます。ただし、経口補水液には塩分が含まれるため、高血圧や腎臓病、心不全などで塩分制限を受けている人は、自己判断で大量に飲まず、医師の指示に従いましょう。
エアコンを適切に使う
暑さを我慢すると大量の汗をかき、脱水になりやすくなります。室温は一般的に28℃を目安にし、湿度も50〜60%程度に保つことで、体温調節がしやすくなります。就寝中もタイマー機能などを利用して室温が上がりすぎないように工夫しましょう。
自律神経を整える生活を心がける
睡眠不足や疲労、強いストレスは自律神経の働きを乱し、血圧の変動を大きくします。十分な睡眠をとり、朝食を食べ、規則正しい生活を送ることが、自律神経を整えることにつながります。
高齢者は「喉が渇く前」の水分補給を
高齢になると喉の渇きを感じにくくなります。「喉が渇いていないから飲まない」ではなく、時間を決めて少しずつ飲む習慣をつけましょう。
高血圧の薬を服用している人は注意
降圧薬や利尿薬を服用している人は、脱水によって血圧が下がりすぎたり、腎機能が悪化したりすることがあります。体調不良や食事・水分が十分に摂れない場合は、自己判断で薬を中止せず、かかりつけ医へ相談してください。

