スタジオジブリの不朽の名作『風の谷のナウシカ』が、「“隠れた名作”だからもっと知られてほしい」と言われていた――。そんなSNS上の投稿をきっかけに、ジブリ作品をめぐる世代間ギャップが大きな話題になっている。
1984年公開の『風の谷のナウシカ』といえば、長年にわたって日本で親しまれてきた国民的アニメ映画の代表格だ。それが一部の若い世代から「知られざる名作」のように受け止められているのはなぜなのか。背景には、作品そのものではなく、「そもそもジブリ映画をどこで見るのか」という環境の変化があるようだ。
「サブスクにない=存在しない」? 若者とジブリを隔てる視聴環境
発端となったのは、「ナウシカが“隠れた名作”扱いされているのを見て驚いた」という趣旨のXの投稿だった。そこから、「自分も若い子から『どのサブスクにもないすごい映画を見つけた』と言われ、タイトルを聞いたら『天空の城ラピュタ』だった」といった体験談が相次いで拡散した。
「今の世代にとってはジブリ映画自体が隠れた名作になってて導線が消失してるんですよね。なにせ最近はTVを見る人が少数派で、スタジオジブリは国内で配信をしていない」
こうした声が指摘するのが、国内におけるジブリ作品の「アクセス環境」だ。現在、日本国内では『火垂るの墓』のような例外を除き、ジブリ作品を動画配信サービスで気軽に見ることが基本的にできない。一方で、テレビでは日本テレビ系の「金曜ロードショー」がジブリ作品を繰り返し放送してきた。
実際、日本テレビは2026年5月の定例会見で、国内でのジブリ作品の配信について問われ、「現状においては、これまでどおり『金曜ロードショー』という地上波の枠で放送していくことをジブリと日本テレビの間で大事にしていこう、という考え方」と説明している。
つまり、日本国内では「好きなときに検索して見る」のではなく、「テレビで放送されるタイミングで見る」という形が、長年ジブリ作品への主要な入口になっていた。
しかし、そのテレビという入口自体が、以前ほど若い世代にとって身近なものではなくなっている。
「テレビもDVDも見ない」世代には、ジブリへの入口がない
Xでは、若い世代との実際の接点から「本当に知らない人がいる」と実感する声も出ている。
「30代くらいまでは共通言語だけど、20代後半ジブリ見たことない人めちゃくちゃ多い」
「コレ結構由々しき事態だなあと思ってて、親戚の子供達も知り合いの子供もトトロ以外全部知らないレベルなんだよなあ…音楽もだけどサブスクにないのは存在しないと同義なのかもしれない」
「一昔前ならジブリアニメを例にして勉強教えたりすると皆が納得してくれたのに、最近の小中学生はラピュタやもののけ姫の例を出しても『あんましらない』、『見たことがない』と言って例え話に使いにくくなってしまった。言われてみれば、ジブリはサブスクで見れないもんな…」
もちろん、こうした投稿だけで「若者はジブリを知らない」と一般化することはできない。ただ、かつて当たり前だった「テレビをつけたらジブリがやってた」「家にビデオやDVDがあるから見た」という導線が、現在では必ずしも当たり前ではないことは確かだ。
「ナウシカはまだいいよ。テレビ放送もされない『ホーホケキョ となりの山田くん』『おもひでぽろぽろ』とかは若い人もうほとんど知らないんじゃない?」
テレビ離れに加え、DVDやBlu-rayを再生できる機器を持たない家庭も増えている。街のレンタルビデオ店も減少しており、「見たいと思ったら、その場ですぐ検索して再生する」という現在の映像視聴のスタイルからすると、テレビ放送や物理メディアを中心とした作品へのアクセスはむしろハードルが高くなりつつある。

