「海外では配信されているのに」日テレの方針をめぐる議論も
さらに今回の話題では、「なぜ日本ではジブリ作品を配信しないのか」という疑問もあらためて注目されている。
スタジオジブリ作品は海外ではNetflixなどのプラットフォームを通じて配信されており、日本国内とは異なる視聴環境が整えられている。こうした事情から、国内での配信が行われていない理由を、宮崎駿監督らの意向だけに求めることには疑問の声もある。
背景として指摘されているのが、日本テレビとジブリとの関係だ。日本テレビは2023年にスタジオジブリの株式を取得して子会社化。先述のとおり、現在もジブリ作品については、「金曜ロードショー」という地上波の枠の中で大切にしていく方針を示している。
つまり、日本ではジブリ作品を配信する代わりに、地上波放送を中心とした独自の視聴モデルが維持されている。これが長年にわたってジブリ作品を「国民的コンテンツ」として届けてきた反面、テレビを見ない世代が増えた現在、その仕組み自体が「若い世代との接点を狭めているのではないか」という議論につながっている。
一方、この方針を単純に「間違い」や「時代遅れ」とすることには異論もある。
「『サブスクに出さないから今の子どもがジブリを知らない。だから愚策だ』って、なぜかジブリに児童文化を継承する社会的義務がある前提になってるのがおかしい。ジブリは民間のコンテンツ企業なんだから、配信するか、円盤やテレビ放送を重視するかは基本的に経営者の経営判断」
また、サブスクではなくテレビ放送だからこそ生まれる価値がある、という見方もある。
「ジブリ作品が配信にならないのは、『同じ時間を共有する視聴体験』を大事にしてるからなのだろう」
「ジブリのサブスク忌避を愚かだ、だから子供がジブリを『知らない』状況が生じる、ってな意見をみるけど。それも含めてジブリ作品を見る状況の神秘性を選択しているもんだと思うがなあ」
こうした方針は、単に「配信しない」というだけでなく、長年続いてきたジブリ作品の視聴スタイルそのものを維持する判断とも考えられる。一方で、視聴者側の生活環境が大きく変わったことで、その戦略と現在の視聴習慣との間にズレが生じている側面もある。
「名作だから大丈夫」ではない? ジブリが直面する世代交代
日本テレビは現在もジブリ作品を「金曜ロードショー」で放映しており、今年も8月を通して『借りぐらしのアリエッティ』『風の谷のナウシカ』『となりのトトロ』を放送する「3週連続夏はジブリ!!」が組まれるなど、現在も重要な「導線」であることに変わりはない。

