高校生の7割超が視力1.0未満―小児の近視から働き盛りの老視まで、世代ごとの目の課題にどう向き合うか

高校生の7割超が視力1.0未満―小児の近視から働き盛りの老視まで、世代ごとの目の課題にどう向き合うか

日本の子どもの視力低下が続いています。2024年度(令和6年度)の学校保健統計調査によると、裸眼視力1.0未満の近視の割合は小学生で36%、中学生で61%、高校生で71%に上ります。成人・壮年期以降は、目の疲れやアイフレイル(加齢に伴う目の機能低下)、老視(老眼)による見えづらさが加わり、「見る」ことの悩みは幅広い世代に広がっています。こうしたなか、近視の視力補正および進行抑制を目的とするソフトコンタクトレンズが2025年8月に国内で承認され、2026年2月に発売されました。2026年7月28日にクーパービジョン・ジャパンが開催したメディアラウンドテーブルでは、同年4月に代表取締役社長に就任した若林正基氏が、同社の経営方針と成長ロードマップ、世代ごとのアイケアソリューションなどについて説明しました。


「見る」ことの不調は全世代の課題

コンタクトレンズの製造販売を手がけるクーパービジョン・ジャパンは、前身のオキュラーサイエンスの事業を含めて国内で25年の実績を持ち、6拠点に社員190人を擁します。2025年10月度時点の納入軒数は約8000軒、売上は約440億円、ユーザー数は推計で約250万人。日本は世界で2番目に大きいコンタクトレンズ市場です。

若林氏はまず、目の不調が全世代の課題である点を指摘しました。小児期からの近視・遠視・乱視に加え、成人・壮年期には目の疲れやアイフレイル、老視が重なります。「視覚は人が受け取る情報の8割を占めると言われています。視力を担保することは、どの年齢層でも重要です」(若林氏)

そのうえで、若林氏は同社の成長戦略として、さらなるニーズが見込める二つの市場開拓を柱として掲げました。その一つが「小児の近視抑制」です。小児の近視は小中学生のころに自覚され、10代の終わりごろまで進行する例が多いとされます。近視が強くなるほど、将来の合併症リスクは上がります。−6.00D*の近視では網膜剥離のオッズ比**が22倍、緑内障が3倍と報告されており、−2.00Dの弱度近視でもそれぞれ3倍、2倍と上昇します。若林氏自身も強度近視で、合併症リスクについて知ったときに衝撃を受けたと話しました。「緑内障は日本人の後天失明原因の第1位です。そのリスクを皆が知るべきことだと感じました」と当時の心境を振り返りました。

*D(ディオプター):屈折の程度を表す単位。−6.00D以上を強度近視、−3.00D以上−6.00D未満を中等度近視、−0.50D以上−3.00D未満を弱度近視とする

**オッズ比:ある因子がある病気の発症に関連する程度を表す指標。値が大きいほど関連が強いとされる。何倍病気になりやすいかを意味するものではない

「近視進行抑制」に二つのアプローチがそろった2026年

近視の進行そのものを抑えるアプローチは、長く選択肢が限られていました。2025年に点眼薬による選択肢が登場し、2026年2月にはクーパービジョン・ジャパンが近視進行抑制用ソフトコンタクトレンズを国内で発売しています。若林氏は「点眼とレンズという二つのアプローチがそろった2026年は、近視進行抑制元年と言えるのではないでしょうか」と述べました。

同レンズは、日中に装用することで、その日の視力補正と近視進行の抑制を1枚でおこなう設計です。海外で7年、国内で2年にわたる臨床試験を経て、2025年8月に国内で承認されました。若林氏は「10年後の話は分かった、けれど今日見たいという子どもの思いに応えながら、将来の視力を守る可能性を持つレンズです」と位置づけを説明しました。

発売から5カ月となる2026年7月時点で、処方に必要なeラーニングを受講した医療従事者は約1600人、出荷認定を受けた施設は約1000施設、装用を開始した患者さんは約2400人です。同社は年内に処方開始施設を1000施設まで広げる計画を示しました。処方は日本眼科学会認定眼科専門医が在籍する施設に限定されています。

配信元: Medical DOC

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