「褒めるべき? 叱るべき?」「子どもに夢を持たせたほうがいい?」
AIの進化が加速するなか、子育てに不安や迷いを感じる保護者も少なくありません。
そんななか、福井県鯖江市で開催された「ドリーム・チャレンジ2026 キックオフイベント」に、「尾木ママ」こと教育評論家の尾木直樹さんが登壇。AI時代に求められる力や、子どもの自己肯定感を育む親の関わり方について語りました。
AIが急速に普及するこれからの時代、私たちは子どもの「夢」とどう向き合い、どんな力を育んでいけばいいのでしょうか。熱気に包まれた会場の様子をレポートします。

尾木ママ「AI時代に一番大事なのは笑顔」
講演の冒頭、尾木さんは「AI時代だからこそ、人間にしかできない力が重要になる」と話しました。
「AI時代に一番大事なのは、AIが持っていない力です。第一は笑顔の力。口角を上げるだけでドーパミンや、幸せホルモンと呼ばれるオキシトシンが出て、リラックスし、挑戦する力が湧いてきます。心が何重にも穏やかになるんですよ」
会場には自然と笑顔が広がります。
さらに尾木さんは、「笑顔の多い人に囲まれている環境も大事なんです。親や先生がニコニコしていると、子どもも安心して心を開いてくれます」と続けました。
また、かつては理数系の能力が重視されていた一方で、いま世界の名門大学では創造性や芸術的な感性への関心が高まっていると紹介。
「ハーバード大学やスタンフォード大学では、学内でコンサートを開催したり、アートの力を伸ばすための取り組みが増えています。これこそ人間ならではの力。AIは画像生成こそできますが、創造性を育むのは人間なんです」
と話しました。
「先生に叱られても『僕は自分が好き』と思える子に」
尾木さんが特に強調したのが、子どもの自己肯定感(ウェルビーイング)のあり方です。
「親御さんがやりがちなのは、誰かと比べたり、何かを達成したときばかり褒める、いわゆる社会的自己肯定感ばかり育ててしまうこと」
一方で、最も大切なのは「絶対的自己肯定感」だといいます。
「誰かと比べて優れている、と思うのではなく、先生に叱られても、忘れ物が多くても、『僕は自分のことが好きだ!』と思える力です。これさえあれば、子どもは決して変な方向には行かず、伸びていきます」
尾木さんは、かつて東京大学で教鞭をとっていたころ、学生から受け取ったレポート課題を「寂しくなる内容だった」と振り返りました。
「『なぜ勉強ができるようになったのか』について書いてもらったら、『先生にできる子だと思われたい一心で勉強した』『親が喜ぶから勉強した』という内容が多かったんです」
周囲からの評価を求める気持ちは原動力になる一方で、それだけでは主体性が育ちにくいと指摘します。
「理解できた!という喜びで勉強できるようになれば、継続して勉強できるんです。これは現代の教育が抱える課題でもあります」
尾木さんは、周囲の評価に依存する「社会的自己肯定感」ではなく、ありのままの自分を認める力が、困難に立ち向かう「レジリエンス(しなやかな回復力)」の土台になると話しました。
