終戦の日の前後になると、放送を思い浮かべる人も少なくないスタジオジブリのアニメ映画「火垂るの墓」。しかし、2026年8月の「金曜ロードショー」では「火垂るの墓」は放送されない。過去の放送記録を振り返ると、意外な事実も見えてくる。実は、「火垂るの墓」が8月15日に放送されたのは、2025年が初めてだった。
「金曜ロードショー」に「火垂るの墓」はなし
今年8月の「金曜ロードショー」では、8月7日に「借りぐらしのアリエッティ」、14日に「風の谷のナウシカ」、21日に「となりのトトロ」を放送。さらに28日には実写映画「8番出口」が放送される予定となっている。現時点で、ラインアップに「火垂るの墓」は入っていない。
「夏になると『火垂るの墓』が放送される」という印象が強い作品だけに、今年は放送がないことを意外に感じる人も多そうだ。ただ、そもそも「火垂るの墓」は「毎年8月15日に放送される作品」ではなかった。「金曜ロードショー」での「火垂るの墓」の過去14回の放送日は、以下の通りだ。
一覧を見ると、8月15日に放送されたのは25年が初めてだったことが分かる。さらに、2年連続で放送されたのは89年と90年の1度だけで、毎年決まって放送されてきた作品でもなかった。つまり、「終戦の日といえば『火垂るの墓』」「毎年その日には『火垂るの墓』」というイメージは、少なくとも過去の実際の放送記録とは一致しない。
それでも、14回中11回は8月放送
ただ、「夏になると『火垂るの墓』」という印象そのものには、きちんと理由がある。過去14回の「金曜ロードショー」での放送のうち、8月に放送されたのは11回。全体の大半を占めている。
特に1989年から09年までの10回は、07年9月21日の放送を除いてすべて8月だった。8月上旬から下旬にかけて繰り返し放送されてきたことを考えれば、「夏の『火垂るの墓』」という印象が定着したのも当然だろう。
一方、13年は「かぐや姫の物語」の公開記念として11月に、18年は同年4月に亡くなった高畑勲監督の追悼として4月に放送された。放送時期には例外もあるが、全体として見れば、同作と8月の結び付きが強かったことは確かだ。
だからこそ、「8月に放送されることが多い」という記憶が、いつしか「終戦の日の前後に放送される」という印象につながった可能性はある。ただ、実際の放送記録を見ると、8月に放送されることが多かったことと、終戦の日当日に放送されることは別の話だった。
その二つが重なったのは、意外なことに昨年だった。25年は戦後80年の節目にあたり、「火垂るの墓」は日本テレビの「平和を歌おう。戦争を語ろう。」の一環として放送された。これまで何度も夏に放送されてきた作品が、14回目にして初めて8月15日の放送となった。
過去の「夏の定番」という積み重ねと、戦後80年という節目が重なった25年の放送は、「火垂るの墓」をめぐるこれまでのイメージを象徴するような編成だったともいえそうだ。

