●人事院の「標準例」より重い処分もあり得る
──人事院の指針では、「虚偽報告」も「勤務態度不良」も、標準例は減給または戒告です。今回はそこから一段上の停職、しかも条例上の上限とされる1年の半分にあたる6カ月でした。
国家公務員を対象とする人事院の指針は参考にはなるものの、今回のケースは自治体職員の懲戒処分であり、あくまでその自治体が定めた指針・方針によって判断されるべきものです。
こうした自治体の指針・方針には、その自治体が定める標準例に基づいて処分の加重・軽減事由が定められていることがあり、今回の事案について、その加重事由に該当するということであれば、標準例に照らして重い処分がされることもあり得ると思います。
●SNS拡散や苦情の多さを考慮していい?
──報道によると、県は「県民の批判を招き社会的に大きな影響を及ぼした」ことを理由に挙げ、苦情が145件寄せられたことも公表しています。SNSでの拡散規模や苦情件数といった、行為そのものとは別の事情を量定に反映させることは、法的に許されるのでしょうか。逆に、同じ行為でも拡散しなければ軽い処分で済むということになれば、公平性の面で問題は生じないでしょうか。
地方公務員には、その職の信用を傷つけ、または職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならないという、いわゆる「信用失墜行為の禁止」に関する服務規定があります(地方公務員法33条)。
社会的に大きな影響を及ぼすということは、こうした信用失墜の程度が相対的に大きくなる可能性が高いことを意味します。
その意味では、社会的に大きな影響を及ぼしたことは、懲戒処分の加重事由として考慮され得ることになります。
なお、この点はあくまで加重事由であって、拡散しなければ軽い処分で済むという、逆方向の意味は持たない(=逆もまた真なりとは言えない)ことには留意が必要です。

