●「停職」と「降任」のセットは二重処分か
──ところで、同じ行為について停職6カ月と2階級降任をあわせておこなうことは、実質的な二重処分にあたらないのでしょうか。
停職処分は地方公務員法29条に基づくものであり、降任処分は同法28条に基づくものであって、その趣旨および要件を異にします。
今回の各処分は、同じ行為に起因していますが、形式的には上記の通り根拠条文が異なりますし、実質的に見ても、停職と降任は性質が異なるため、二重に処分しているということにはならないだろうと思います。
この点については、刑事事件における「二重処罰の禁止」(憲法39条)とは意味合いが異なる点に留意が必要です。
●処分に納得できなければ「審査請求」も
──男性職員が処分に納得できない場合、どのような手続きで争えますか。実務上の注意点もあわせて教えてください。
県人事委員会への審査請求が考えられます(地方公務員法49条の2第1項)。
一般的な法的手段としては審査請求のほか、行政事件訴訟が挙げられ、多くの場合、いずれの方法を選択するかは自由です。
今回の場合、原則として、先に審査請求をして、その結論(裁決)が出た後でなければ、訴訟提起することはできません(地方公務員法51条の2・審査請求前置主義)。
また、男性職員が審査請求をする場合、今回の処分があったことを知った日の翌日から起算して3カ月以内にしなければなりません。
【取材協力弁護士】
中村 健人(なかむら・たけひと)弁護士
自治体の行政実務全般に関する案件を取り扱う。自治体の特定任期付常勤職員を経て、現在は法律事務所に所属しつつ、複数の自治体の特別職非常勤職員として勤務。自治体法務関連書籍・論文の執筆や、研修講師として活動。著書として『問題解決力があがる 自治体職員のための法的思考の身につけ方 ―課長、ウシガエルを薬殺したいという住民の方からお電話です!』(第一法規、2022年)等
事務所名:弁護士法人東町法律事務所
事務所URL:https://higashimachi.jp/

