●「見逃した」で済ませていい問題なのか
ナヴィーンさんはこう振り返る。
「薬の差し入れはできないけれどお薬手帳を持っていて、入管も私が通っている病院から開示請求して、何を飲んでいるかを記録しているんですね。それを見てから薬を出してほしかった。というのも、薬を間違って出されたからです。
あとから医師が『この薬は出していなかった』と言うので、『なぜですか?』と聞いたら『見逃した』と言ったんです。だから『今までに入管で亡くなった人がいるから、見逃したで許せる問題ではないんですよ。人の命がかかってる問題だから』と言いました。
エンシュアリキッドのことも、収容されてすぐに精神科の医師にも内科の医師にも話していたし、私のカルテを見ていたのに、しばらく出されませんでした。入管から退出する際に『エンシュアリキッドをなぜ出さなかったのですか?』と聞いたら、やはり『見逃していました』と言われたんです」
難民支援に携わる医師の今川篤子さんも、この院内集会でナヴィーンさんの病状について説明した。
今川医師によると、ナヴィーンさんは首のリンパ節が腫れて発熱する「菊池病」を患っていた。菊池病は良性の炎症疾患だが再発しやすく、高血圧による脂質異常症やうつ病も抱えており、心身ともに厳しい状態だったという。
「7月15日の夕方に外の病院に連れていかれて、血圧を測ったら1回目がエラーになり、2回目は211でした。看護師があとでまた計りましょうというので、レントゲンと採血をしたあとに血圧を測ったら、何回もエラーになりました。
『水分をとってから10分ぐらい休んでから計りましょう』というので寝たまま計ったら、今度は215と表示され、『レントゲンは異常がないけれど血圧が異常に高い』と言われました。病院から入管に戻ってきてからようやく、エンシュアリキッドが1日に1本出されました」
●「感謝を伝えたかった」SNSで中傷も
当初は強制送還される可能性もあると考えていたが、職員とのやり取りから、ナヴィーンさんは長期間の収容にはならないと感じ始めていた。
7月17日に監理措置決定が出され、収容は解除された。翌18日には、以前から参加が決まっていたイベントに登壇した。
これに対して、SNSでは「病気は嘘だったのか」といった内容の投稿が相次いだ。
ナヴィーンさんは、体調を理由に休むようすすめられたものの、それでも会場に足を運んだ理由について次のように語る。
「力を貸してくれた人たちに感謝を伝えたかった。それが生きる力にもつながるから」

