【クローン病の治療費】毎月の注射代が払えない?リアルな治療費と難病の医療費助成

【クローン病の治療費】毎月の注射代が払えない?リアルな治療費と難病の医療費助成

知っておきたい公的制度

クローン病の治療費を軽減するために活用できる公的制度がいくつかあります。いずれも申請が必要なものが多いため、早めに確認しておきましょう。

■ 指定難病医療費助成制度(していなんびょういりょうひじょせいせいど)

クローン病は厚生労働省が指定する指定難病の一つで、重症度分類を満たす場合のほか、軽症でも医療費総額(10割)が33,330円を超える月が申請前の12か月以内に3回以上ある場合(軽症高額該当)にも助成の対象になります。認定されると、世帯の所得に応じて月々の自己負担上限額が0円〜30,000円程度に設定され(生活保護世帯は0円、住民税非課税世帯は2,500〜5,000円、住民税課税世帯は10,000〜30,000円が目安)、生物学的製剤による治療が長期に続く場合は「高額かつ長期」の特例によりさらに上限が下がります。申請窓口はお住まいの都道府県・指定都市の担当窓口です。なお、18歳未満で診断された場合には、小児慢性特定疾病医療費助成制度(炎症性腸疾患のカテゴリ)の対象になります。指定難病より広い範囲で助成が受けられ、成人期には指定難病医療費助成へ移行できる仕組みもあります。詳しくは主治医または住所地の保健所・こども家庭センターにご相談ください。

■ 高額療養費制度(こうがくりょうようひせいど)

指定難病の医療費助成を受けていない場合や、助成の対象とならない検査・入院費用がある場合には、高額療養費制度で自己負担に上限を設けることができます。一般的な所得区分(年収約370万〜770万円)の場合、自己負担の上限はひと月あたり80,100円+医療費に応じた加算額が目安ですが、2026年8月からは85,800円+加算額へと引き上げられることが決まっています。あわせて年間(8月〜翌年7月)の負担上限も新設され、この所得区分では約53万円が上限となります。さらに2027年8月には第2段階の見直しが予定されています。また、直近12か月に3回以上高額療養費に該当した場合には、4回目以降の上限額がさらに下がる「多数回該当(たすうかいがいとう)」という仕組みがあり、この所得区分では44,400円になります。今回の見直しでもこの金額は据え置かれます。申請窓口は加入している公的医療保険(健康保険組合、協会けんぽ、市区町村国民健康保険など)です。なお、あらかじめ「限度額適用認定証」を医療機関の窓口に提示すれば、はじめから自己負担限度額までの支払いで済み、いったん高額を立て替える必要がなくなります。マイナ保険証を利用する場合は、事前申請も認定証の提示も不要で自動的に同じ取り扱いとなり、高額療養費の事後申請自体も不要です。

編集部まとめ

クローン病の治療費は、検査や通院の頻度、生物学的製剤や栄養療法の有無によって幅がありますが、指定難病の医療費助成を受けることで自己負担を大きく抑えることができます。

診断・検査時の自己負担は2万〜3万円程度(小腸カプセル内視鏡を行う場合は別途約3万円)になることが目安

生物学的製剤による維持療法は、薬剤により1回あたり約1万2千円〜13万円程度、月あたりでは約1万6千円〜11万円程度が目安

栄養療法(成分栄養剤)の自己負担は月あたり8,000円〜21,000円程度が目安

指定難病の医療費助成を受けると、自己負担割合は2割、月々の上限も0円〜30,000円程度に軽減される

費用面の不安は、医療ソーシャルワーカーへの相談で解決できることが多い

クローン病と診断されたら、生物学的製剤や栄養療法をどのように組み合わせるかだけでなく、指定難病の医療費助成をいつから申請できるかについても、主治医や医療ソーシャルワーカーに早めに確認することが大切です。費用の見通しが立つだけでも、治療は続けやすくなります。申請の手続きがわからない場合も、遠慮なく聞いて問題ありません。

※本記事の情報は2026年7月時点のものです。診療報酬・制度の内容や自己負担額は、所得区分・医療機関・今後の制度改正により変わる場合があります。

参考文献

難病情報センター「指定難病患者への医療費助成制度のご案内」

厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」

厚生労働省保険局「高額療養費制度の見直しについて」(第209回社会保障審議会医療保険部会資料、令和7年12月25日)

厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」

ジョンソン・エンド・ジョンソン「トレムフィアの皮下注製剤、中等症から重症の潰瘍性大腸炎とクローン病患者さんの治療薬として在宅自己投与が可能に」(2026年6月1日)

武田薬品工業 IBDステーション「医療費の自己負担額について」

厚生労働省「特定保険医療材料及びその材料価格(材料価格基準)」

配信元: Medical DOC

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