難病「多発性硬化症」の”平均寿命”はご存じですか?影響する要因も医師が解説!

難病「多発性硬化症」の”平均寿命”はご存じですか?影響する要因も医師が解説!

多発性硬化症は、脳や脊髄、視神経などに炎症が起こり、視力低下やしびれ、歩きにくさなどの神経症状を引き起こす病気です。若い年代で発症することも多く、診断された方のなかには「寿命に影響するのか」「仕事や家庭生活を続けられるのか」と不安を感じる方もいるでしょう。この記事は、多発性硬化症の寿命や予後に関わる要因、進行パターン、治療法、日常生活で気を付けたい点を解説します。

この記事のまとめ

多発性硬化症と診断された方の寿命は、一般の方とほぼ同程度とされる場合もあれば、平均で約10年短くなるとされることもあり、病型や再発頻度、治療への反応などによって差があります。予後を左右する主な要因は、再発の頻度や進行性の病型への移行、早期診断・治療開始の有無です。近年は再発予防薬の進歩により病気のコントロールが期待できるようになっており、薬物療法に加えて生活管理やリハビリテーションを組み合わせることが重要です。

伊藤 規絵

監修医師:
伊藤 規絵(医師)

旭川医科大学医学部卒業。その後、札幌医科大学附属病院、市立室蘭総合病院、市立釧路総合病院、市立芦別病院などで研鑽を積む。2007年札幌医科大学大学院医学研究科卒業。現在は札幌西円山病院神経内科総合医療センターに勤務。2023年Medica出版社から「ねころんで読める歩行障害」を上梓。2024年4月から、FMラジオ番組で「ドクター伊藤の健康百彩」のパーソナリティーを務める。またYou tube番組でも脳神経内科や医療・介護に関してわかりやすい発信を行っている。診療科目は神経内科(脳神経内科)、老年内科、皮膚科、一般内科。医学博士。日本神経学会認定専門医・指導医、日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医、日本老年医学会専門医・指導医・評議員、国際頭痛学会(Headache master)、A型ボツリヌス毒素製剤ユーザ、北海道難病指定医、身体障害者福祉法指定医。

多発性硬化症の寿命

多発性硬化症の寿命

多発性硬化症は慢性的に経過する病気ですが、寿命への影響は病型や治療状況によって違います。ここでは、多発性硬化症の寿命について解説します。

多発性硬化症の概要

多発性硬化症は、脳・脊髄・視神経などの中枢神経に炎症や脱髄を起こす病気です。症状の出方には個人差があり、視力低下、しびれ、歩きにくさ、ふらつき、排尿障害など、さまざまな神経症状がみられます。日本では若い成人での発症が多く、平均発病年齢は30歳前後とされています。

また、多発性硬化症は再発と寛解を繰り返しながら慢性的に経過することが少なくない病気です。症状がいったん軽くなっても、その後に再発することがあり、長い経過のなかで一部の方では進行性の経過をとることもあります。そのため、診断後は症状が落ち着いている時期も含めて、継続した治療と経過観察が大切です。

多発性硬化症と診断された方の平均寿命

多発性硬化症と診断された方の寿命は、一般の方とほぼ同程度とされる場合もあれば、平均でおよそ10年程度短くなるとされています。

ただし、これはあくまで全体としてみた傾向であり、すべての方にそのまま当てはまるわけではありません。実際には、病型、再発の頻度、障害の進み方、治療への反応、感染症などの合併症の有無によって差が出ます。近年は再発予防薬の進歩により、病気のコントロールが以前より期待できるようになってきており、長期的に生活を続けている方も少なくありません。

多発性硬化症の寿命や予後を左右する主な要因

多発性硬化症の寿命や予後を左右する主な要因

多発性硬化症の予後は、再発の頻度や病型、治療開始のタイミングなどによって変わります。ここでは、多発性硬化症の寿命や予後を左右する主な要因について解説します。

再発頻度や病型

多発性硬化症の予後を考えるうえで重要なのが、再発の頻度とどの病型にあたるかです。再発が多い場合は、そのたびに症状が強く出たり、回復しても一部の症状が残ったりして、障害が少しずつ積み重なることがあります。特に再発の重症度が高い場合や、再発後の回復が不十分な場合は、日常生活への影響が大きくなりやすいです。

また、病型も予後に関わります。多発性硬化症には、再発と寛解を繰り返すタイプだけでなく、しだいに進行性の経過をとるタイプがあります。再発寛解型では、再発を防ぎながら経過をみていくことが重要ですが、一部ではその後に進行性の病型へ移行することもあります。進行性の経過では、再発の回数だけではなく、時間の経過とともに障害が残りやすいので、歩行障害や筋力低下、排尿障害などが生活に影響しやすいです。

診断と治療開始の時期

多発性硬化症では、できるだけ早く診断し、適切な治療を始めることが予後に関わる大切な要素です。病気の活動性が高い状態を長く放置すると、そのあいだに再発や新しい病変が重なり、将来の障害につながる可能性があります。そのため、早い段階で診断し、再発予防治療を検討することが重要です。

配信元: Medical DOC

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