アクティブラーニングのデメリット

良いことばかりに思えるアクティブラーニングですが、デメリットもあります。どのようなデメリットがあるのか見ていきましょう。
時間がかかる
アクティブラーニングは生徒が自分で考え、意見交換や議論をしながら進めていきます。意味のある学習をするには「自ら答えを導き出す課程」をたどらなければなりません。
一般的な授業に比べると、どうしても多くの学習時間が必要となるところはデメリットといえるでしょう。アクティブラーニングを積極的に取り入れたくても、多くのカリキュラムをこなさなければならないため、実現が難しいケースも珍しくありません。
学習の成果を感じられるまでに時間がかかる点を理解した上で、一般的な授業と組み合わせて活用することが大切です。
評価が難しい
アクティブラーニングは「正しい答えを導き出せたかどうか」を重視するのではなく、結論にたどり着くまでの「過程」に目を向けます。一般的なテストの結果とは異なり評価を数値化できず、採点が難しい点もデメリットのひとつです。
課題解決にあたって行われる討論の内容に、正解や不正解があるわけではないため、どんな基準を元に評価するかを考えるのは難しいといえるでしょう。
課題に対する積極性や内容の理解度などが評価のポイントとなってきますが、明確な評価基準が決まっておらず、確実な評価をしづらいのが現状です。採点の判断基準をどう設けるかが、今後の課題となっています。
受験対策には向かない
アクティブラーニングで得たものを、そのまま受験に生かせるわけではないという点もデメリットといえます。通常の授業で十分な知識を身につけなければ、受験には対応できないでしょう。
アクティブラーニングに多くの優れた面があっても、現行の受験システムに取り入れることは困難です。評価基準をどうするか、明確にできないものを試験にすると混乱を招きかねません。
ペーパーテストのように明確な採点基準があり、優劣をつけやすいものが受験の中心である限り、現状の受験対策は知識を詰め込むことが求められるでしょう。
アクティブラーニングの実施例

どんなに良いとされる学習方法であっても、生徒のレベルに合わせたやり方で行わないと、授業についていけない子どもが出てきてしまいます。小学校では、どのような取り組みが行われているのでしょうか。
国語の時間
小学校の国語の時間にアクティブラーニングを取り入れる際は、「日常生活に不可欠な国語への理解度」を高め、表現力や思考力を養うことを目的とします。
例えば、物語の登場人物の心情を考えさせ、ほかの生徒と意見を交換し合う学習方法があります。この方法なら、自分がどう思ったかだけでなくほかの生徒の意見を聞くことで、様々な考え方を知ることが可能です。
ほかにも、文章と写真を関連づけて学習している学校もあります。新聞記事に合う写真の選び方を生徒に考えさせ、実践したあとに話し合う機会を設けることで、言語感覚を養う取り組みを行っているのです。
理科の時間
理科の時間は「仮説を立てて実験を行い、結果を考察する」という流れがあるため、アクティブラーニングを取り入れやすい科目といえるでしょう。
小学校の授業では、生徒それぞれに実験結果の予想を考えさせたあとに、グループで意見をまとめて発表する形式で行われることがあります。
与えられたテーマを元に生徒たちが実験方法を考え、結果を検証するパターンもあるようです。結果はクラス全体で共有し、どうしてそのようになったのかを考察する時間も設けられます。
学校によって様々なテーマが選ばれており、身近な場所の自然環境保護について考えさせる試みも行われています。
開発と自然の保護を同時に行うにはどうしたらよいのか、といった議論をしながら課題を解決していく能力を向上させることが目的です。
