積み重なる小さな違和感
彼との日々は、表面上は穏やかに流れていました。週末には一緒に買い物へ行き、夜は並んでテレビを見る。けれど、ふとした瞬間に感じる距離が、少しずつ広がっているような気がしていたのです。
きっかけは、彼のスマホに届いた通知でした。画面に一瞬映った女性の名前と、ハートの絵文字。私が視線を向けると、彼は慌ててスマホを裏返しました。「仕事の後輩だよ、気にしないで」と言う声は、どこか早口で落ち着きがありません。
その日から、私の中で疑念が静かに育ち始めました。問い詰めることもできず、かといって何事もなかったように振る舞うこともできない。そんな宙ぶらりんな時間が、数週間続いたのです。
「信じてほしい」という言葉の重さ
意を決して、私はLINEで彼にメッセージを送りました。最近の態度が気になること、曖昧な返事が続いて不安になっていること。感情的にならないように、何度も打ち直して、言葉を選んで送ったつもりでした。
しばらくして、彼から返信が来ました。
「本当に何もないから。俺のこと、信じてほしい」
画面に並んだその一言を見た瞬間、胸が少しだけ軽くなるはずでした。けれど同時に、どこかが引っかかったのです。信じたい気持ちはあるのに、納得しきれない自分も確かにいました。
「なんで?プライバシーってものがあるでしょ」
文字なのに、トーンが変わったのがわかりました。信じてほしいと言いながら、確かめることは拒む。その矛盾が、画面越しにじわじわと伝わってきて、私の胸に静かに突き刺さりました。
