人間のペニスは「ケンカ」より「モテ」重視で巨大化した
人間のペニスは「モテ」と「ケンカ」のどちらを重視しているのか?
答えを得るため研究者たちはデータの統計分析を行いました。
その結果ペニスサイズが女性の「どれくらい魅力的に見えるか」という評価に与える影響は、男性が「この相手はケンカが強そうか」と感じるときの影響と比べて、およそ4〜7倍も大きいと報告されています。
つまりこのことから、ペニスはたしかに男同士の世界では「こいつは少し手強そうだな」と思わせる“強そうバッジ”としても働いてはいるものの、異性にアピールするための“モテ用の飾り”としての効果が4~7倍高いと言う意味です。
そういう意味では、男性のペニスサイズは、シカの角のような“武器寄り”というより、クジャクの尾のような“モテ用の飾り寄り”のアクセサリーになっているのかもしれません。
(※シカやヤギの角はそれをぶつけ合ってオス同士が戦いますが、クジャクの尾は主に視覚的アピールに重点が置かれているという点でもクジャクの尾寄りと言えるでしょう)
最後に、反応時間も面白い結果を見せました。
背が低く、洋ナシ体型で、ペニスが小さいアバターに対しては、参加者はパッと見てすぐに低い点をつける傾向がありました。
一方で、背が高く逆三角でペニスが大きいアバターに対しては、評価に少し時間がかかります。
つまり、人は知らない体を見たとき、まず「これはナシ」と感じる候補を一瞬でふるい落とし、それから「アリ候補」の中で細かい差を考えているようにも見えるのです。

今回の研究により、「身長」「体型」「ペニスサイズ」という三つの要素が、他人を見たときの「モテそう度」と「強そう度」の直感に、それぞれどれくらい効いているのかがおおまかに見えてきました。
女性の好みも男性のライバル評価も、背が高く、肩幅が広く、ペニスが大きい男性を評価する方向にそろっており、その意味では、ペニスもクジャクの尾のような性的な飾りとして働いている可能性があります。
もちろん、この研究にも限界があります。
アバターは白人男性の体型をもとにしており、参加者も主に西洋文化圏の異性愛者です。
文化が変われば「かっこいい体」の基準も変わりうるので、「世界中どこでも同じ」とは言えません。
また、使われたのはふだんの状態のペニスだけで、勃起している状態や、実際の性交時の感覚は扱っていません。
それでも、この研究は「ペニスサイズ」というふだんは冗談で語られがちな話題を、「身長」「体型」と合わせて、他人の頭の中でどう評価されているかを可視化した点で非常にユニークです。
もし、こうした「一瞬の印象」が、長い進化の時間スケールでも積み重なってきたのだとしたらどうでしょうか。
昔の人類でも同じような傾向があり、その選好が少しずつペニスを大きくしていった可能性があります。
もしかしたら未来の保健体育の教科書には「男性のペニスサイズは生殖機能や精子競争だけでなく、「クジャクの尾」のような飾りとしても巨大化したかもしれない」という小ネタがのせられているかもしれません。
元論文
Experimental evidence that penis size, height, and body shape influence assessment of male sexual attractiveness and fighting ability in humans
https://doi.org/10.1371/journal.pbio.3003595
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
編集者
ナゾロジー 編集部

