れいわ新選組の山本太郎代表が2月5日夜、今回衆議院選挙で初めてとなる街頭演説を行なった。山本代表は衆院解散前の1月21日、血液のがんである多発性骨髄腫の「一歩手前」の状態と診断されたと発表し参議院議員を辞職。
体調悪化を避けるため衆院選では「心を鬼にして選挙戦の舞台には立たない」と語っていたが、党の劣勢が伝えられる中、終盤に選挙戦に参入した。病を押しての党の顔による訴えは、れいわの反転攻勢につながるだろうか。
「もう一度あの妖怪だらけの永田町に戻って鬼退治したい」
山本氏を欠いたれいわは、大石あきこ共同代表(大阪5区で出馬)が前面に出て衆院選を戦ってきた。
1月27日の公示直前に相次いで行なわれた一連の党首討論で大石氏は、旧統一教会の内部文書に自民党との深い関係をうかがわせる内容があったり、日本維新の会の地方議員による脱法的な国保逃れが次々と明らかになったことを指摘していた。
「そもそも解散とか、ド厚かましい話で、内閣総辞職ものなんですよね。今起きてることが」と高市早苗首相の解散判断を面と向かって正面から批判。
別の討論会では司会者の制止を聞かず持ち時間を超えて話し続けたことで批判を浴びながらも存在感は高まった。
だが、党への支持は増えるどころかつなぎ止めにも苦労する事態になっている。
「報道各社の情勢分析では序盤から解散前の8議席の維持は難しいと見られていましたが、時間が経つにつれ一層苦しくなっています。小選挙区での議席獲得はほぼ苦しく、比例でも解散前の勢力の半分を取れればいいほう。相当厳しい結果になるという数字が各社の世論調査で出ているようです」(政治部記者)
「れいわの求心力の中心」である山本氏が抜けた穴を埋められないまま迎えた終盤、選挙期間が残り3日となった2月5日午前に党は「山本太郎代表街宣!」とSNSで急告し山本氏を休ませる方針を一変した。
そして迎えた同日夜のJR池袋駅。西口ロータリーを埋めた支持者らの拍手に迎えられて登壇した山本氏は、働きすぎで命を失う前に病気に気づけたことは幸いだったと自分の状況を説明しながら「ここからなんとか体を治して、もう一度あの妖怪だらけの永田町に戻って鬼退治したい」と復活への意欲をアピールした。
そして自民・維新の連立与党で300議席をうかがう大勝になるとの予測が出ていることを挙げ、舌鋒鋭く与党を批判した。
「冗談じゃない。失われた30年。先進国でただ一つ経済を壊し続けた30年。身を切る改革と言いながら国民にそむき、自分たちの身は切らずに財布だけ厚くなっていくような者たちが政権与党。そんな国に未来ある?控えめに言ってもない」
山本氏は「消費税減税やるやる詐欺」と批判
高市政権が昨年定めた物価高対策は「焼け石に水」程度のものだと効果を否定し、
「政治に対して何かを信じるとか推し活のようなことをするのは、その人たちが皆さんの首を絞めるようなことを見て見ぬふりをし続けるのと同じことなんです。去年の12月の補正予算の内容を見ればあの人が総理ではダメなんです。あの人が総理では失われた30年は40年にしかならない」
と高市首相の交代が必要だと訴えた。
さらに選挙で各党が「消費税の低減策」を競って公約に掲げる中で、れいわは2019年の結党時から「消費税廃止」を掲げてきたと強調。
米トランプ政権が言い始めた「相互関税」を巡る交渉で合意された日本からの約80兆円の対米投資は、結局日本政府が公金で担うことになると主張しながら、その80兆円があれば税収額26兆円の消費税の廃止はできると強調し、
「そういったいわゆる国を売る者たち、売国。こういった勢力から国を取り戻すのが今回の選挙。自民党に票を与えちゃいけない」
と自民党をこき下ろした。
消費税減税を掲げて2024年の前回衆院選で議席数を伸ばした国民民主党に対しても「消費税減税やるやる詐欺」と批判。「今は選挙の時に嘘ついて、その手の平返しは次の国会から始まっちゃうんですよ」と公約破りが横行していると強調し、れいわはブレないとアピールした。
待望した山本氏の登場に支持者の視線は熱く「希望の星!山本太郎代表」とのプラカードも上がる。演説の中で「遺言やと思って聞いて」との言葉が出ると「そんなこと言わないで」と声が飛んだ。演説が終わると「太郎」コールと「れいわ」コールが上がった。

