●そもそも「ガスケット」とは? 20年ごろから自作界隈でブームに
ASMR的な魅力もある「コトコト」という心地よい音がするメカニカルキーボードは、数年前から中華圏の自作界隈を中心にトレンドになり、昨年ごろから日本でもチラホラ見かけるようになってきた。ただ、採用しているものはゲーミングモデルが多く、汎用モデルの選択肢はほとんどなかった。
ロジクールのキーボードといえば、先進的な機能や人間工学にもとづく快適性というイメージが真っ先にくる。これまでもタイピングの質にもこだわってきたが、「音」という要素にとりわけフィーチャーしたモデルはほとんどなかったように思う。
そうした意味で、現在のトレンドを踏まえつつ、徹底的にコトコト音にこだわったキーボードを出してきたのは、同社として新しい挑戦といえる。
そもそも同製品のキーワードとなっている「ガスケット」とは何か。これはもともと車の部品で、エンジンや配管などのつなぎ目で使われる緩衝材のことだ。キーボードにおいては、キーを叩いたときの緩衝材として機能しており、底打ち感を消し、柔らかな心地よい音を生み出す役割を果たしている。
ガスケットマウントは20年ごろから自作界隈でブームになり、23年ごろから中国メーカーが既製品でも採用するようになり、広く知られるようになった。SNSでも頻繁にショート動画などが投稿されており、見かけたことがある人もいるかもしれない。
●ガスケットの効果を最大化するロジクールのこだわり
Alto Keys K98Mの「UniCushion ガスケット」は独自開発したもので、非常に分厚いのが特徴だ。こだわりはガスケットだけでなく、キーボードの構成全体から見て取れる。
10のレイヤーから構成され、そのうちガスケットを含む5層(ポリカーボネート製スイッチプレート、ラテックス製トップフォーム、IXPEスイッチフォームパッド、ラテックス製 ボトムフォーム)は衝撃やノイズを抑制する目的で搭載されており、それらのシナジーによって「最高のコトコト音」を生み出している。
また、メカニカルキースイッチも独自開発の「Marble Switch」を採用することで、ガスケットとの合わせ技で従来のメカニカルキーボードで感じやすかった底打ちの硬さや鋭い打鍵音をやわらげてくれる設計になっている。
筆者はキーボードのカチャカチャという音も嫌いではないが、2週間ほどAlto Keys K98Mをコトコトしていて、「気持ちはさておき、体が求めているのはこちらかも…」と感じた。それはコトコトという低音で柔らかい響きは耳にやさしく、底打ちの柔らかさが指先にも心地よいからだ。
ガスケットのありなしは単純に音の違いで、体にかかる負荷が減るなどの効果はないが、少なくても耳と指は新しい音に喜んでいたように感じた。

