自由を選んだはずでした
あの日、友人の婚約報告を聞いた帰り道、彼女から将来の話を振られました。「私たちも、そろそろ考えない?」。正直、面倒だと思いました。結婚なんて、自由がなくなるだけです。前を向いたまま答えました。
「俺は一生独身でいい。結婚とか向いてないから」。それだけでは足りず、「正直、束縛されるの無理だわ」「もっと自由に生きたい」とまで言いました。隣で彼女が黙ったのは分かっていました。でも振り向けませんでした。これで自由になれる。そう思っていたのです。
自由の正体
別れた直後は開放感がありました。飲みに行きたい時に行き、休日は好きなだけ寝る。でも半年もすると、その「自由」の正体に気づき始めました。誰かと食事をしても、彼女と行った店の方がおいしかったと思ってしまう。休日にどこにも行く気が起きなくなりました。
「自由」ではなく、ただ「一人」なだけ。共通の友人からは、彼女が料理教室に通い始めたこと、仕事で昇進したことが聞こえてきます。自分は何も変わっていないのに、彼女だけがどんどん遠くなっていきました。
