・ちょっと意外な天ぷら
と、そばとつゆにおいては立ち食いそば激戦区の都内っぽい洗練が感じられたのに対し、個人的に若干意外だったのが天ぷらだった。天ぷらがつゆしみじみのふわふわ派なのである。
これは特に裏を取った話じゃなく、単なる379店巡っての私の体感なんだけど、近年の都内の実力派立ち食いそば屋は天ぷらにおいてサクサクを推すパターンが多い。「揚げたてですよ!」っていうのが味で伝わるからかもしれないけど、これが東京を離れると、ふわふわ派が一気に主流になる。
・ふわふわ天ぷらを想う
静岡の『桃中軒』なんて天ぷらを1回煮つゆに浮かべていたし、そこには衣がバラけてつゆの一部になることへの1つの美学が感じられる。サクサクとふわふわ、どちらが上とかではなく、また別の山を登っているのだ。
で、ふわふわ派について想いを巡らせる時、私の中で特に印象に残っているのが『きそば 鈴一』。つゆがしみまくる天ぷらに温かさを感じる名店だが、その『きそば 鈴一』があるのが横浜駅前なのである。
もちろん都内でもふわふわ天ぷらの名店はあるし地域というより、創業した時代の価値観で天ぷらが違う可能性もある。だが、理由はどうあれ『立喰そば よりみち』の天ぷらからは旅で入った立ち食いそば屋の味がしたのだった。
そんなわけで、天ぷらふわふわ派にとってはかなりハイブリッドな立ち食いそば屋と言える。目黒区ロードサイドにおいてしみじみとした温もりを発揮するこの店。立ち食いそば屋でも旅は感じられた。これぞ立ち食いそば放浪記と言えよう。
