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「頭蓋から両断ってどういうこと?」俳優・木村達成が度肝を抜かれた北方謙三『水滸伝』の衝撃シーン

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史進が「入ってきた」シーン

──撮影はどうでしたか。

自分なりに準備はしましたが、撮影現場に入らないと役の本当のところはわからないというのが本音です。いざ衣装を着て、長い髪のかつらを被り、セットに入るという状況になって初めてわかることがあって。相手の方がどんなお芝居をされるのかでも変わってきますから。

キャラクターをつかむってすごく難しいんですよ。お芝居の神様がいるとしたら、ワンシーン目から僕にキャラクターを血液として流し込んでください、と思っているぐらいです。

でも、自分で言うのも何ですけど、今回はワンシーン目から、「あ、史進が流れ込んできたな」という瞬間があったんです。「史進が身体に住んでる!」と思えたんですよ。

──最初のシーンはどんなシーンだったんですか。

史進の家にゴロツキたちが殴り込んでくるシーンですね。その場には王進先生(演:佐藤浩市)のほか、史進の父の史礼(演:田中健)、王母(おうぼ)様(演:丘みつ子)もいるシーンでした。監督の若松(節朗)さんからは「気が狂ったように絶叫して入ってきてほしい」と言われていました。

監督から、殺陣をつけてくださっているアクションコーディネーターの諸鍛冶(裕太)さんに、史進のアクションを増やして、向かってくるやつに思い切り飛び蹴りしてくれ、という注文があったりして、いきなり派手なシーンになりましたね。

いざやってみたら、雄叫びが「うわー!」じゃなくて、「うえー!!」ってなってたんですよ、自然に。「とち狂ってんな、俺」という感じで(笑)、自分でも演じながら心の中で笑ってました。

──最初からテンションが高いシーンだったんですね。原作小説では

もうひとつ、雄叫びがあがった。上半身が裸の、大柄な若者が飛びこんできた。躰には、竜の入墨がいくつもある。棒を構えていた(p.55)

とあります。映像でどう描かれているのか楽しみです。

最初がそのシーンでよかったんです。王母様から字を習うシーンの撮影もあったんですが、そちらが「静」だとすれば、アクションシーンは「動」。先に「動」を演じられたことで、史進を自然にかたどっていくことができました。絶叫しながら飛び蹴りした時に「あ、史進が流れ込んできてくれた」と。そこからは流れに身を任せて演じることができました。

傷だらけになった殺陣シーン

──殺陣はいかがでしたか。

史進は棒術の使い手なので、半年くらい前から棒術の練習をしていたんです。でも、現場に入ったら、稽古で使っていた棒の一・五倍ぐらいの重さで、しかも長い(笑)。だから距離感が分からなくなってしまって「どうしよう、これ」と最初は戸惑いました。常人じゃ振り回せないくらいの重さなんですよ。

──見た目は重そうでも実は軽い、というわけではないんですね。

それをやると視聴者にわかってしまう。軽々振っていたら、軽いんだろうなとバレてしまうんですよ。

──なるほど。リアリティーを出すために。

頭ではわかってたんですけど、いきなり渡されたので、「マジでこの重さ、長さ?」って。その代償がこれですよ(手のひらを見せる)。べろーんって皮がめくれていたんです。三回ぐらい振っただけで皮がむけました。

──しかも、相手をやっつけるだけじゃなくて、やっつけられもしますよね。地面に思いきり倒れこんだり。

途中からマットは敷かなくていいですって言ったんです。そしたら全身で転げ回るシーンで、地面の小石なんかが背中に当たりまくって、傷だらけになりました。でも、その時は手当もできなかったんですよ。タトゥーが落ちてしまうから。

──史進は身体に立派な竜のタトゥーが入っていますよね。

ヘアメイクとタトゥーを描いてもらうのに合わせて3時間ぐらいかかりましたね。

──セットはどうでした? 東映の大泉撮影所だったそうですね。

作り込みがすごかったですね。セットにある調度品はどれも中国で購入した本場のもので、コンテナで何百個も運んできたそうです。スケールが普通のドラマとはぜんぜん違いますね。本棚に入っている書物、建物の瓦なんかもすべて中国から持ってきたと言っていました。

ただ、困ったのは砂ぼこり。セット内に大量に砂を運び込んでいるので、殺陣のたびに砂が舞い上がるんです。僕は殺陣ではだいたい叫んでいるので、砂が口の中に入ってきて、喉がおかしくなるかと思いましたよ。

──撮影初日、ほかのキャストの方はどうでしたか?

さっき話した王進先生、史礼、王母様と、あと別のシーンで少華山(しょうかざん)の陳達(ちんたつ)(演:市川知宏)、朱武(しゅぶ)(演:朝井大智)、楊春(ようしゅん)(演:酒井大成)の三人と魯智深(演:金児憲史)が一緒でした。
みなさん、僕と同じで撮影初日だったと思うんですが、手探りなところもありながら、今までの役者としてのキャリアを背負って、この現場に戦いに来ているんだなと感じましたね。

とくに陳達、朱武、楊春は少華山に籠る賊徒で、役所を襲うために史進がいる史家村(しかそん)を通ろうとする。そこで史進とぶつかるんですよ。戦いの場面で直接ぶつかりあったので、気合いが入っているのがダイレクトに伝わってきました。こちらはそれを蹴散らさなきゃいけないので、負けないように強い気持ちで雄叫びを上げていましたけど。

最初の撮影で感動したのはやっぱり王進先生役の佐藤浩市さんですね。いや、本当にすごい存在感でした。せりふ一つ一つがどれも温かくて、じーんと来ました。佐藤さんがいらっしゃるだけで現場も引き締まります。初日からすごくいい環境で撮影できたと思います。

聞き手・構成/タカザワケンジ

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