医師が解説 花粉症で耳がかゆくなる仕組みとは

川崎医科大学耳鼻咽喉・頭頸部外科学 主任教授
原 浩貴 先生
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定専門医・指導医、日本睡眠学
会総合専門医・指導医
1989 年山口大学医学部医学科卒業。1996年米国チュレーン大学病理
学研究室(内耳基礎研究)に、2003年より山口大学医学部附属病院耳
鼻咽喉科講師、准教授を経て2017年より現職。専門領域は睡眠時無
呼吸・睡眠障害、音声障害・音声外科、嚥下障害。
そもそも、なぜ花粉症で耳の中がかゆくなるのでしょうか。川崎医科大学 耳鼻咽喉・頭頸部外科学 主任教授の原浩貴先生によると、その原因は耳そのものではなく、体の仕組みにあるといいます。耳に直接花粉が入っているイメージを持つ方もいるかもしれませんが、実際の原因は少し異なります。
ポイントとなるのは、鼻・のど・耳が神経でつながっているという体の仕組みです。花粉によって鼻の粘膜に炎症が起こると、その刺激が神経を通じて伝わり、「耳のかゆみ」として感じられることがあります。耳の奥に違和感がある場合でも、原因は耳そのものではなく、鼻のアレルギー反応にあるケースが多いとされています。
こうした仕組みについて、原先生も鼻のアレルギー反応が神経を通じて耳のかゆみとして現れることがあると指摘しています。耳だけをケアしても改善しにくいのは、こうした体のつながりが関係しているためです。
こうした仕組みを知らないまま、かゆみのある部分だけに対処しようとすると、なかなか改善しない理由にもつながります。「耳がかゆい=耳の問題」と考えてしまいがちですが、実際には体の別の部分が関係している可能性があるという点は、意外と見落とされがちです。 また、花粉の飛散量が多い日ほど耳のかゆみを感じやすい傾向があることからも、花粉症との関係性は無視できません。毎年同じ時期に違和感を覚える場合は、単なる一時的な不調ではなく、花粉の影響を疑ってみることもひとつのヒントになりそうです。
正しい対処と気をつけたいポイント

耳の中がかゆいとき、つい触れてしまいたくなるものですが、まず意識したいのは「なるべく掻かないこと」です。耳の中の皮膚は非常に薄くデリケートなため、綿棒や耳かきで刺激を与えることで傷がつき、かゆみや炎症がさらに悪化してしまう可能性があります。
また、耳そのものだけでなく、原因となっている鼻の症状に目を向けることも大切です。花粉によるアレルギー反応が関係している場合は、鼻のケアをしっかり行うことで、結果的に耳のかゆみの軽減につながることもあります。
耳の違和感が気になる場合には、無理に自己判断で対処するのではなく、症状に応じたケアを選ぶことが重要です。耳専用の塗布薬などを活用する方法もありますが、症状が続く場合や強いかゆみがある場合には、医療機関に相談するという選択肢も考えておきたいところです。
日常の中で何気なく行っているケアだからこそ、正しい知識をもとに見直すことが、快適に過ごすためのポイントになりそうです。
