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体育館でよく聞く「キュッ」音は靴底を走る時速300㎞の波が生んでいた

体育館でよく聞く「キュッ」音は靴底を走る時速300㎞の波が生んでいた

指でガラスをこする「キュッ」も同じ原理で音がする

指でガラスをこする「キュッ」も同じ原理で音がする
指でガラスをこする「キュッ」も同じ原理で音がする / Credit:Canva

今回の研究から、バスケットボールシューズの「キュッ」というきしみ音は、靴底が床をこすっているだけでなく、靴底の凸凹が接触面の見えない波をそろえ、結果として音が特定の周波数を持つ、ある意味で楽器のような振る舞いによって起きていたことが示されました。

ここで少し視点を変えてみると、この研究が示している本当の面白さが見えてきます。

私たちは普段、摩擦を「どんな素材か」で考えがちです。

もちろんそれも重要なのですが、この研究はそこにもう一つの軸を加えました。

それが「形」です。

靴底に刻まれた細い溝や隆起といった構造が、見えない波の動きをそろえ、その結果として音の出方まで変えてしまうというのです。

実際、研究では人の指のように筋のある面では似た現象が出やすく、平たい手のひらでは乱れやすいことも示されました。

指でガラスを擦る時に鳴るキュっという音もバスケシューズと同じ原理で甲高い音が鳴っている可能性があるわけです。

つまり、うるささは単なる性質ではなく、「どんな形にするか」でコントロールできる可能性があるということになります。

それでも、この研究が非常に価値あるものであることは間違いありません。

なぜなら、この成果を応用すれば、靴底やゴム製品の表面の形をどう工夫すれば「きしみ音が減るか」あるいは逆に「意図した音程を出せるか」を考えるための具体的な指針を与えてくれるからです。

例えば、靴底を上手くデザインすれば、摩擦の性質を大きく崩さずに、音だけを抑えたり、狙った音程に近づけたりすることも将来的には可能になるかもしれません。

実際、研究者たちは「キュッ」の音の源である波が摩擦力を下げる方向に働いているとするデータも示しています。

溝や模様の向きや配置をさらに工夫すれば、波の動きをより細かく制御できる可能性があるとも述べています。

もしかしたら未来のバスケでは「キュッ」という画一的な音の代わりに、より多彩な選手の個人的好みに合った音になっているかもしれません。

元論文

Squeaking at soft–rigid frictional interfaces
https://doi.org/10.1038/s41586-026-10132-3

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。

編集者

ナゾロジー 編集部

配信元: ナゾロジー

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