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まさにパワハラ上司だった織田信長の鬼畜マネジメント術…30年仕えた家臣に与えた死刑にも等しい残酷な仕打ち

まさにパワハラ上司だった織田信長の鬼畜マネジメント術…30年仕えた家臣に与えた死刑にも等しい残酷な仕打ち

織田信長を天下統一目前まで押し上げたのは、身分を問わず才能ある者を抜擢する徹底した実力主義だったといえる。だが、豊臣秀吉や明智光秀がその恩恵を享受した一方で、容赦なく切り捨てられた人たちもいた。30年仕えた家臣に突如として襲いかかった、死刑にも等しい追放劇とはどんなものだったのか。

 

河合敦氏の書籍『戦国武将は戦がないとき、何をしていたのか』より一部を抜粋・再構成し、超合理主義者・信長が貫いた組織マネジメントについて迫る。

織田信長の恐怖の人事

もし豊臣秀吉が織田信長の家臣になっていなければ、秀吉が天下人になることはなかった。そう断言できる。

信長の型破りな抜擢が、出自が農民(諸説あり)の秀吉を天下人にまで押し上げたのである。おそらく秀吉のような有能な家来は、どの大名家にもいただろう。

しかし、いくら主君がお気に入りだからといっても、序列を大きく超えて重臣たちをごぼう抜きにしてまで栄達させるのは、ためらいがあったはず。

もちろん、三好長慶が配下の松永久秀に対して行った“抜擢人事”など、過去に例がなかったわけではない。それにしても、信長はよくぞ秀吉を長浜城主に据えたものだ。

織田家が強大になれた理由の一つは、信長が実力主義を重んじ、身分や門閥にかかわらず積極的に異能者を取り立てたことだと思う。それは秀吉だけではない。明智光秀は牢人だったうえに、室町幕府第十五代将軍・足利義昭の家臣でもあった。

なのに光秀の名が一次史料(当時の手紙や日記、公文書など)に登場してわずか数年後、信長は近江坂本城(大津市)を光秀に築かせ、城主としているのだ。また、のちに関東の支配を託す滝川一益は、伊賀(三重県)か甲賀(滋賀県)の「忍び」出身だといわれている。

死刑に等しい仕打ち

ただ、取り立てるのは良いことだが、織田信長のコワさは、実力のない者や用をなさなくなった部下には、容赦なく降格させたことだ。それは宿老であっても例外ではない。

天正8年(1580)、11年続いた石山本願寺との戦い(石山戦争)が和睦というかたちで終結した。同年、信長は本願寺跡(現在の大阪城公園内)を訪れることになった。このとき、本願寺攻めの総指揮官だった佐久間信盛は、主君を迎える準備を居城の天王寺城(大阪市天王寺区)で整えた。

しかし信長は天王寺城に現れず、使者が信長の書状を信盛のもとにもたらした。そこに記されていたのは、なんと19条にも及ぶ信盛・信栄親子への折檻状(𠮟りの手紙)だった。

次に、主な条文を要約する。

「お前たちは、5年も天王寺城にいる間、一つも良い働きをしなかった。石山本願寺を大敵と恐れて武力も策略も用いず、ただ寺を包囲して数年過ごしていれば、敵は坊主のことだから、やがて信長の威光を恐れ退去すると考えたのか。勝機を見定めて一戦もせず、このように持久戦に持ち込んだことは、まったく分別のない行動だ。

明智光秀や羽柴秀吉の活躍は見事である。彼らの活躍を聞いてお前たちも発奮して、ひとかどの働きをすべきだったのだ。柴田勝家は秀吉や光秀の活躍を知り、北陸で頑張っているのだぞ。

武力がふがいないのであれば調略(巧妙な交渉や策略)に励み、それもうまくいかなければ俺の意見を聞くなりすべきなのに、5年の間一度でもそれがあったか。お前たちには、7カ国もの与力の者(加勢する武将)たちをつけたのだ。それに自分の家臣団を加えたら、どんな戦いでも負けることなどなかったはずだ」

このように、信盛・信栄父子の怠慢を手厳しく追及し、「お前たちは、けちくさく金ばかり貯め込み、新しい家臣を召し抱えようとしない」と非難し、さらに筆はエスカレートしてゆく。

「かつて三方ヶ原の戦いで、家康の援軍にお前と平手汎秀を遣わしたところ、武田軍を前に平手を見殺しにして逃げ帰ったうえ平気な顔をしていた。越前の朝倉氏と戦った際、お前の非を責めたところ、恐縮せずに言い訳をし、座を蹴って退出した。このような行為は前代未聞だ!」

と、遠い過去のことをほじくり返し、さらに、「信栄のことも、書き並べることができないほどだが、おおまかに言えば、この者も第一に欲が深く、気難しく、良い人材を抱えず、そのうえ油断していると取り沙汰されている。つまり父子ともども、武士道が足りていないから、こんなことになるのだ」

と、さんざん愚弄したうえ、だめ押しに「お前が俺に仕えた30年間、優れた働きなど一度もなかった」と言い切ったのだ。

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