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〈八雲の血筋〉小泉八雲の玄孫が“足跡の旅”で出会った男性と結婚…アイルランド移住で見た「日本との決定的な違い」

〈八雲の血筋〉小泉八雲の玄孫が“足跡の旅”で出会った男性と結婚…アイルランド移住で見た「日本との決定的な違い」

「小泉八雲の玄孫である天由子さん。祖先の足跡を辿る旅のなかで出会った一人の男性と結婚し、現在はアイルランドに移住している。運命的な出会いの裏側、そして現地で感じた「日本との違い」とは。『世界へ飛び出た100人の日本人』(集英社インターナショナル)より、一部抜粋、再構成してお届けする。

先祖の「ルーツめぐり」の旅

プロフィール
アイルランド〈2020年から居住〉
ジュエリーデザイナー 守谷天由子(あゆこ)さん
1987年生まれ、女性、東京都→トラモア

 ――天由子さんは、日本の怪談を世界に広めた文豪・小泉八雲 (ラフカディオ・ハーン)のご子孫とお聞きしました。

はい。私は小泉八雲の次男・稲垣巌(いながき・いわお)のひ孫、八雲の玄孫です。でも、家系図が複雑で、自分のルーツを知ったのは、初めて祖母(巌の娘)の自宅を訪ねた28歳のときでした。

――自分のルーツを知ったとき、どんな心境でしたか?

私は昔から海外を訪れるのが好きで、ドイツでワーキングホリデーをした勢いで世界一周したりと、旅三昧な20代を過ごしました。そのなかで祖母と先祖の話をする機会ができたのは印象的でしたね。現在のギリシャで生まれ、アイルランドやイギリスで育ち、世界をめぐって日本で所帯を持った先祖・小泉八雲の旅好きな一面には、強くシンパシーを覚えました。

――アイルランドとの出会いはやはり小泉八雲関係ですか?

そうですね。ちょうど祖母から八雲の話を聞いたとき、次の旅先を考えている最中でした。それなら、と彼の足跡を辿る旅に出たんです。彼が育ったアイルランドもその一国でした。

——他にはどこをめぐったんですか?

小泉八雲の英語名「ラフカディオ・ハーン」の由来となった 生誕の地・レフカダ島(ギリシャ)と、彼が10代のときに住んだイングランド、彼が高校中退後に20年ほどいたアメリカのニューヨーク、シンシナティ、ニューオーリンズ、横浜行きの船に乗るために滞在したカナダのバンクーバーなどですね。

――旅で立ち寄ったアイルランドに移住した経緯とは?

八雲の足跡めぐりを終えたあと、またワーホリに行きたいと思ったんです。せっかくなら、八雲に関連する国がいい、そのなかで唯一ワーホリの制度があったのがアイルランドでした。そこでいまの夫と出会って、移住を決めました。

——その方とはどういったきっかけで知り合ったんでしょう?

じつは足跡めぐりの旅中なんです。アイルランド南東部のトラモアには「ラフカディオ・ハーン庭園」という八雲の人生をモチーフにした日本庭園があり、彼はそこで働いていて、私がビジターとして訪れたときに知り合いました。最初は立ち話程度で、インスタグラムを交換しただけでしたが、その後の旅の投稿に頻繁にコメントをくれて。アイルランドにワーホリに行くときも彼にいろいろと相談したんです。気づいたら夫になって、一緒にトラモアに住んでいます(笑)。

――すごいご縁ですね! 結婚はアイルランドで?

いえ、手続きが簡単だった日本でしました。

――生活の拠点をアイルランドにした理由はなんですか?

夫の仕事や、将来的に子どもを授かったときの社会保障や教育環境、そして情報環境ですね。夫と日本にいたとき、ある芸能人が薬物問題を起こして、昼夜テレビで報道されていたんです。それを見た夫が、芸能スキャンダルばかりで政治などの大切なニュースが少ないことに違和感を覚えていたんです。メディア文化の違いではありますが、これも理由の一つです。

ジュエリーデザイナーと日本語教師

――現在のお仕事について教えてください。

日本で立ち上げた「Apocaθist(アポカシスト)」というブランドのジュエリーデザイナーをしています。素材にバイオリンやピアノなど、 楽器の部品を使用しているのが特徴です。

――ブランド名にはどんな意味があるのでしょうか?

ギリシャ語で「生まれ変わる、蘇生する」という意味です。 演奏を支えたのに捨てられてしまう楽器の弦やリードを、ジュエリーとして生まれ変わらせるというブランドです。移住前は伊勢丹などで販売していましたが、移住後は私がデザインして、制作は日本の職人に依頼し、オンラインで販売しています。

――アイルランドで販売はしないんですか?

アイルランドは寒い時期が長く、アクセサリーやジュエリー をつけても着込んだ服で隠れ
てしまうため、需要が少ないようなんです。でも、夫の職場のお土産コーナーに折り鶴をモチーフにしたピアスなどを置いてもらったら、州都のバイヤーの方が目に留めてくれて、ローカルアーティストの作品を扱う彼女のギフトショップにも置いてもらえるようになりました。

あと、日本語教師もしています。初めはプライベートレッスンだけでしたが、ご縁をいただきトラモアの中等学校でも教えています。八雲は日本で英語を教え、子孫の私は八雲の育ったアイルランドで日本語を教えている。かなり薄まっているとはいえ、血は争えないのかも? と思ったりしています(笑)。

――アイルランドの移住生活で驚いたことはありますか?

つい最近(1995年)まで離婚でさえ違法だったほど保守的なのに、どんどん先進的に変化していることに驚きますね。中絶も2019年に合法化されました。中絶をしていたら助かったであろう臨月の女性が、子ども共々亡くなってしまった出来事がきっかけでした。「中絶が違法なせいで命が失われた」という声が上がりはじめ、国民投票で中絶が合法化されたんです。同性婚も15年に合法化され、国単位での合法化は世界初。17年にはゲイであると公言する首相も誕生しました。

――すごい… …! 一方、宗教的に賛否もありそうですが。

そのとおり、アイルランド人の9割弱がカトリックなので、とてもセンシティブな問題なんです。それなのにさまざまな合法化を実現できたことが、いい意味で不思議というか、私も興味深いです。アイルランドは国土も人口もだいたい北海道と同じくらいですが、約540万人の人口のうち10%強が移民です。多様性を受け入れることで、この小さな国を発展させていこうという姿勢があるのかなと勝手に推測しています。

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