「今を楽しむ」という生き方が、実は将来の自分を貧しくさせているとしたら――。人類が進化を遂げた背景には、本能的な「今の楽しみ」を理性で抑え、「明日への備え」を優先してきた歴史がある。目先の損得に一喜一憂せず、人生の終盤で「最終的に勝つ」ために必要なことは何か。
起業家である佐野 Mykey 義仁氏の書籍『ずる賢い人のための億万長者入門 成功者の9割は性格が悪い』より一部を抜粋・再構成し、合理的かつ地道な生存戦略を解き明かす。
「今を楽しむ人」はどんどん貧しくなる
「お金持ちになれない人」の特徴として、「明日よりも今日」を大事にして生きている場合がとても多い。
でも、人間は基本的に「今日よりも明日」を大切にしたから発展してきた。
本能では「今日を楽しみたい」と思っても、理性によって「明日のために」活動した結果、現在の人類が存在しているのである。
人類が生き延びてこられたのは、将来の不確実性に対応してきたからだと言える。
たとえば、農耕社会では、天候不順が頻繁に起こると、食料を確保できず、絶滅しかねない。今年はたくさんの作物が採れたからといって、来年は天候不良が起こるかもしれないし、台風がやってきて作物がダメになってしまうかもしれない。
そこで人類が行ったことは、「備蓄」と「分散」だった。
品種改良をして長持ちさせたり、保存方法を考案したりして、作物の備蓄に努めたのだ。そのおかげで「明日」の食料を確保できるようになった。
けれど、それだけではまだ将来の不安を解消するには至らない。そこで、米や穀物だけでなく、野菜を作ったり、動物の飼育をしたり、山に狩りに行ったりと、食料の入手ルートを「分散」させたのである。
このように、「明日」に備えて、将来の不確実性を乗り越えていったのが人類なのである。「今」しか生きていない動物とは、この点が圧倒的に異なるのだ。
「今」と「明日」を天秤にかけて、「今」を選択してしまう人は、「明日」「来週」「来月」を待つことができない。「今」に過剰に加点している。
減点思考で「今」をありのままに見ていけば、今が「今のまま」ではやばいことに気づけるはずだ。気づけた人が「明日を生きる」ようになれるのだ。
「最終的に勝つ」ことを目標に
企業の戦略も同じで、長期目線に立って打ち立てる必要がある。
たとえば、自社の事業は海外展開が必須であるにもかかわらず、経営者であるあなたが英語が苦手だった場合、どう解決しようか?
会社のマネジメント態勢を整えて、しばらくは誰かにかじ取りを任せて、半年間でも海外留学をすればいいではないか。
もちろん、リスクはある。しかし、そのリスクを負って不得意な英語を改善し、半年後にまともな英語が話せるようになったとしよう。その結果、ビジネスが拡大して売上が倍になったとしたら、最終的には「勝ち」になる。
日本では特に、一時的に売上が下がったり、キャリアが停滞したりすることを極度に恐れる人が多い。僕はこの点、まったく気にしていない。「今勝つ」のではなく「最終的に勝つ」ことができれば、何も問題ないではないか。
「最終的に勝つ」ことを目標にして、自らの弱点を明らかにし、合理的な方法によって解決する。これは、あらゆるビジネスパーソンに必要な心構えだろう。
「明日を生きる」ことは、人生をつまらなくする生き方では決してない。
「宿題を今日やろうか、明日やろうか」と迷ったとき、「今日やっておけば、明日はたくさん遊べる」と考えられるかどうかなのだ。今日やってしまえば、明日は何の心理的負荷もなく、心の底から遊びを楽しむことができるだろう。
一方で、宿題を明日やることを選択してしまうと、今日遊んでいても心の底から楽しめない。「明日は宿題しなくちゃ」という心理的負担がかかるため、思いきり遊ぶことができないのである。
これは、人生のすべての選択について言える。

