最新エンタメ情報が満載! Merkystyle マーキースタイル
脳トレ四択クイズ | Merkystyle
東大卒→LINE→おにぎり屋。「人生の夏休みなの?」と呆れられても、私が26歳で出世ルートを捨てた理由

東大卒→LINE→おにぎり屋。「人生の夏休みなの?」と呆れられても、私が26歳で出世ルートを捨てた理由

スタジオパーソルでは「はたらくを、もっと自分らしく。」をモットーに、さまざまなコンテンツをお届けしています。

今回お話を伺ったのは、コミュニケーションアプリとして国内最大シェアを誇るLINE株式会社から、「おにぎり」の世界へ飛び込んだ川原田美雪さんです。川原田さんはLINEを退職後、おにぎり専門店を運営する企業の代表に就任し、都内で5店舗展開。2025年には、おにぎりで世界進出を目指すRice Platformer株式会社を設立しています。

東大大学院卒、大手IT企業の期待の若手という、一見すると「誰もがうらやむキャリア」を捨て、なぜ彼女はまったく異なる道を選んだのでしょうか。川原田さんの言葉には、「はたらく」を楽しくするための、そしてはたらくことの本質が詰まっていました。

「おにぎりで世界を取る」がおもしろそうだから、私はLINEを辞めた

東大卒→LINE→おにぎり屋。「人生の夏休みなの?」と呆れられても、私が26歳で出世ルートを捨てた理由

──川原田さんは東大の大学院で工学を学んだ後、LINEに入社していらっしゃいます。そもそも、なぜIT業界を選んだのでしょうか?
中学生のときに見た映画『サマーウォーズ』に影響を受けたのがきっかけでした。仮想空間が社会インフラになっている世界で、主人公たちがそのプラットフォームを守って世界を救う。社会の土台を守る主人公たちの立ち位置そのものに、すごくあこがれたんです。

就職活動でも「社会のプラットフォームをつくる仕事に就きたい」という想いは変わらず、そこで真っ先に浮かんだのがLINEでした。

当時のLINEは、決済機能を立ち上げたばかりで、生活のプラットフォームとして本格的に進化しようとしているフェーズで。私は、プラットフォームをビジネスとして成立させ、持続可能なインフラにするまでの過程に興味があったので、まずはマネタイズの仕組みを学ぶためにLINEの中の広告営業を志望しました。最終的にはチームで目標予算を大幅に達成し、個人でも新人賞をいただくなど、充実した日々を過ごさせてもらいましたね。

東大卒→LINE→おにぎり屋。「人生の夏休みなの?」と呆れられても、私が26歳で出世ルートを捨てた理由

──それだけ活躍されていたのに、なぜLINEを離れることに?
出世すればするほど、お客さまと向き合うよりも、社内のマネジメントや資料作成に割く時間のほうが増えていきます。大きな会社で責任を持つ以上それは仕方のないことですが、「これは自分がありたい姿ではないかも」と感じてしまって。

そんなときに、大学時代にお世話になっていた方から電話をいただいたんです。「おにぎりで世界を取れる人を探しているんだけど、誰かいい人いない?」と。ミーティングの合間の、わずか5分ほどの電話でしたが、「それ、私しかいないですね」と即答していました(笑)。

──即答ですか!なぜそこまで迷わずに答えを出せたのですか?
「おにぎりで世界を取る」というビジョンが、素直にめちゃくちゃ面白そうだったからです。

LINEの仕事では、お客さまや市場と向き合う時間が減っていくことに悩んでいました。でも、おにぎり屋の社長なら、現場でお客さまの反応を見ながら自分の手で商品やブランドをつくっていけます。当時の私は、現場で手触り感を持ってはたらける環境を求めていたんです。

しかも、日本国内で成長が鈍化しているIT市場と違って、「食」なら世界中に市場があります。新しくて、デカくて、誰もやっていないこと。突拍子もないけれど、ほかのIT企業に転職するより、よっぽど自分がワクワクできる挑戦だと思えました。そうしてRICE REPUBLIC株式会社の新取締役社長への就任が決まりました。

──大きなキャリアチェンジにあたって、不安はありませんでしたか?
もちろん、周囲は大反対でした(笑)。先輩たちには「出世ルートに乗っているのに何しているんだ」と呆れられ、東大の同級生からは「人生の夏休みなの?」とまるで遊びのように言われました。

でも、そんな状況だったからこそ、私にはこの挑戦がもっともっと面白いものに思えてきたんです。当時はいい意味で世間知らずだったこともあり、「うまくいかなかったらまたどこかに就職すればいい」くらいに捉えていて、不安な気持ちは不思議とありませんでした。

夜の虎ノ門で一人、洗い物。1日2,000個売る「最強の店」ができるまで

──IT業界から飲食業界という、まったく異なるフィールドに飛び込まれたわけですが、実際におにぎり屋を始めてみていかがでしたか?
正直に言うと、RICE REPUBLICに来てすぐのころは何もできませんでした。現場へ入っても、洗い物はやり直しになるし、レジは打ち間違えるし……。営業中、自分がどこに立つべきかさえ分からない。それに、LINE時代に扱っていたのは億単位の数字だったのに、目の前にあるのは「300円のおにぎりが10個余った。この損失をどう挽回しよう」といった現実です。

ときどき大学の後輩がおにぎりを買いに来てくれることがありましたが、「彼らの年収よりこの店の年商のほうが少ないんじゃないか」と考えてむなしくなる日もありましたね。

虎ノ門ヒルズの店舗前を、キラキラした外資系コンサルの人たちが次々と通りすぎていく。夜に一人で片付けをしているときは、「何をやっているんだろう」と、考えが止まってしまうこともありました。

──そこからどのように「おにぎりを1日2,000個売る店」へと成長させていったのでしょうか?
ビジネスメディアへの露出を増やしたり、具材をあえて表に見せる華やかな盛り付けしたりと、既存のおにぎり屋さんが取らないような戦略を仕掛けていきました。そして何より、虎ノ門という立地に頼らず、丸の内・銀座・渋谷からどう顧客を呼び込むかという商圏設計、そのためのデータ分析、オペレーション設計など、前職で培ったノウハウをすべて注ぎ込みました。

LINEの広告営業も、おにぎり屋の経営も、売上を最大化する要因は“人”です。接客が得意な人、おにぎりを握るのがうまい人、私のように現場作業は苦手だけどシステム構築や営業が得意な人など、一人ひとりの強みを最適配置するという、チームマネジメントの本質は同じだったんですよね。

──過去のキャリアが、まったく違う業界でも武器になったんですね。
そこに気付いてからは仕事が本当に楽しくなりました。アルバイトスタッフと話しながら「この子の強みはなんだろう」と探ったり、お客さまに「どうして今日はこの商品を選ばれたんですか?」と直接伺ってみたり。現場で拾った小さな気付きが、すべて戦略に変わっていく感覚がありました。

提供元

プロフィール画像

スタジオパーソル

スタジオパーソルは読者層20代~30代のはたらく若者へ向けた、はたらく自由と未来の可能性を広げるWebメディアです。

あなたにおすすめ