一度は断念した「世界進出」。今度こそ、おにぎりを世界のファストフードに

──RICE REPUBLICのおにぎり事業は順調に成長していたように見えますが、2025年に川原田さんはRice Platformer株式会社を立ち上げていらっしゃいます。なぜ新会社を?
事業方針の転換により、RICE REPUBLICのおにぎり事業を縮小することになり、当然ながらオーナーではない私にはその方針を変える権限はありませんでした。
もともとは誘われて引き受けたおにぎり事業でしたが、やればやるほど「おにぎりで世界を」という夢が自分のものになっていって。それなのに、それを最後まで貫く立場にいなかったので、今度は自分のリスクで自分の信じるビジョンを形にしたいと思い、新しく会社を立ち上げました。
──今回の起業には迷いはありませんでしたか?
これまでの転機よりも今回の決断のほうが葛藤は大きかったです。自分で会社を立ち上げるということは、自分でリスクを背負うということ。就職して、いわゆる“普通のルート”に戻る選択肢も頭をよぎりました。
でも、この不安の正体は「起業の情報やリスクについて何も知らないこと」だと気付いて。そこから、開業資金、国の制度、業界の実情など、徹底的にリサーチすることに加えて、いろいろな人に話を聞いてまわったんです。リスクが見えれば覚悟も決まると信じて、+一から勉強し、最終的にRice Platformerを立ち上げることを決めました。
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──不安に正面から向き合うことで、それを乗り越えたのですね。新たに立ち上げられたRice Platformerを通じて、これからどんなことを実現していきたいですか?
夢は今も変わらず「おにぎり事業で世界進出」です。日本を代表するブランドとして世界の人に認知してもらえる会社に成長させて、日本のソウルフードを世界の食卓に広めたいです。
ハンバーガーやサンドイッチがこれだけ世界中にあるのなら、おにぎりだって同じようになれるはず。マクドナルドの横におにぎり屋があるのが当たり前、という世界を目指しています。
仕事は人生の手段。自分を好きになれるなら、それがあなたの天職
──川原田さんにとって、仕事していて「楽しい」と思える瞬間はどんなときですか?
知らなかったことを知るときが一番楽しいです。お客さまの購買行動、マーケティング施策の反応、海外市場の特性など、現場レベルから経営レベルまで、毎日何かしらの新しい学びがある。それが仕事の楽しさですね。「今日は何が起きるんだろう」とワクワクしています。
結局、私は「新しくて規模の大きいこと」が大好きなんです。規模が大きければ大きいほど、まだ誰もやっていないことであればあるほど、ワクワクする。そういう好奇心が、私の原動力なのかもしれません。

──川原田さんのように、ワクワクすることを仕事にするには、何が必要だと思いますか?
仕事を選択する上で大切なのは、「どんな状態でいる自分が好きか」だと思います。私は、おにぎりを通して、日本の文化を世界に表現できるプラットフォームをつくりたい。その大きな夢を追いかけている自分が好きなんです。
たとえば、“推し”と会うのが好きな人なら、そのために必要なお金を稼げて自由に休みが取れる仕事がその人にとっては天職なはず。仕事は、目的をかなえるための手段であってもいいんです。「好きなことを仕事にできるか」ではなく「好きな自分でいられる場所はどこか」を考えるほうが、本質的だと私は思います。
──最後に、スタジオパーソルの読者である「はたらく」モヤモヤを抱える若者へ、「はたらく」をもっと自分らしく、楽しくするために、何かアドバイスをいただけますか?
大切なのは、自分を好きになる努力をすること。小さくてもいいから、「この決断をした自分が好きだな」と思える選択を、一つずつ積み重ねてみてほしいです。
昔は、自信のない自分のことが嫌いでした。でも、「Rice Platformer」という自分を表現できる場所をつくり、納得できる選択を続けていたら、いつの間にか自分のことを好きになっていたんです。
今の仕事を続けるべきか、転職すべきか、起業すべきか、正解はありません。でも「どうすれば自分を好きでいられる?」と考え続けることはできる。そうやって、むしろ悩むこと自体を楽しめれば、仕事も人生も楽しくなるはずです。
大切なのは肩書きでも年収でもなく、好きな自分でいられるか。それが私のはたらくことに対する答えです。

(「スタジオパーソル」編集部/文:間宮まさかず 編集:いしかわゆき、おのまり 写真提供:川原田美雪さん)

