死んだあとのことを聞く上で
葬儀やお墓のことなど、この「死んだあとに、どうしてほしい?」という話をすることは、とても大切なことです。
本人の意識があるうちに、葬儀をどのような形にしてほしいか、誰を呼んでほしいか、お墓はどうするか、財産や遺品を誰にどのように渡してほしいか、などの本人の意向を聞いておくことも大切だと思います。
ただ、この意向を聞くことは、簡単にできるようでなかなか難しいものです。
大前提として、「本人がもうすぐ死ぬことをわかっている」、さらには「死ぬことをある程度受け入れている」状態でないと話し合うことが難しいからです。
そして、聞き手と本人との関係も重要です。
私がこの話を聞くのを自分ではなく、「姉」に任せたのは、関係性の問題からです。
母は私をものすごく怖いと警戒していて、「私から叱られないような回答」しか出さないような状態でした。
私自身ももうあまりこだわっていないとはいえ、過去にさまざまあり、母に心を開いているとは言いがたいものがあります。うまく聞けないかもしれないという懸念があったのです。
その点、姉は非常に優しい人です。
母も姉には本音を話すことが多かったようです(逆に母に舐められてしまって、それはそれで煮え湯も飲まされる事態もあったようですが……)。
姉は母に寄り添い、時に母に流されそうになりつつもその母を引き留めるアンカー(錨)のような役割を果たしてきました。
この姉にだったら母も信頼して本心を話せるでしょうし、姉だったら難しい話題にも踏み込めるだろうと思って、「死んだあとに、どうしてほしい?」を聞く役目を託したのでした。
毒親を在宅で見送った緩和ケア医が伝える 関係のよくない親を看取るということ
岡山容子
2026/2/201,870円(税込)232ページISBN: 978-4799332498関係のよくない親の介護や看取りが不安なあなたへ。
毒親だった母を在宅で見送った医師による体験談と看取りの知識&心得がわかる本
40代から60代にかけて直面する、親の老いと死。
親との関係がよくても不安になる人も多いのに、関係のよくない親なら、なおさら不安や怖い気持ちになるのも当然です。
・親との関係がずっと悪く、できることなら関わりたくない
・親が苦手で、なんとなく実家とは距離をとっている
・「毒親」とまでは言えないが、付き合いづらい親だ
・親がしょっちゅう人間関係やお金のトラブルを起こす
・親の価値観を、今でも押し付けてきて嫌な思いをする
著者は、京都で訪問診療・緩和ケアに携わる医師であり、真宗大谷派で得度した僧侶でもある岡山容子氏。
数多くの看取りに立ち会ってきた専門家でありながら、自身もかつて「毒親」だった実の母を、長年の葛藤の末に看取った経験をもっています。
(本文より一部抜粋)
親が死んでしまったあとも、あなたの人生は続きます。
そのときに、苦しんでしまったり、大きな後悔が襲ったりすることが少ないよう、できたらお別れはしたほうがいいとおすすめしています。
ただ、そのためにあなたが親との関係で最後の最後までつらい思いをするのならば……捨ててもいい、とも思っています。
親子の形はそれぞれ、見送り方もそれぞれです。
正解などはないのです。
そして「あなたはどうするのか」ということです。
それを、みなさんそれぞれに考えるヒントにしてもらうために、本書を書きました。

