3年前に結成40周年を迎えた、たけし軍団。メンバーは今も各方面で活躍しているが、ビートたけしの運転手経験もあるつまみ枝豆氏は異色の経歴を辿っている。所属していた『オフィス北野』が『TAP』と社名変更し(2020年)、その代表取締役に枝豆氏が抜擢されたのだ。あれから6年、社長業は順風満帆なのだろうか? 奇しくも今年は「FRIDAY襲撃事件」から40“周年”の節目。なぜか襲撃に召集されなかった枝豆氏が、当時の秘話と「殿」への想いを語る!
「1年で潰れると思った」社長・つまみ枝豆の現在地
――社長業は今年で7年目に入りました。事務所の業績はいかがですか?
枝豆 正直言って、可もなく不可もなく、ですね。ただ、僕が社長になった当初は“1年で潰れるだろう”と言われてましたし、僕自身もそう思ってました。それがここまで持ちこたえてるのは、軍団のメンバーが個々に仕事をしてくれてるのと、俳優部門(大路恵美らが所属)やタレント部門(枝豆夫人の江口ともみらが所属)のみんなも頑張ってくれてるから。サラリーマンもやったことのない僕がポンと社長に据えられて、マネジャーたちも素人に近い経験の浅い子ばかりだったのに、なんとか踏みとどまってる感じです。ただ、軍団のメンバーはもうすぐ70歳。タレントとしての賞味期限が迫っているので、今は若手の育成にも力を入れています。
――スカウティングみたいなことでしょうか?
枝豆 いいえ。ウチは以前から、来るもの拒まずなのでスカウト的なことはしません。たけし軍団がそうであったように、入りたいと言ってきた子は面白い面白くないにかかわらず、とりあえず入れてます。たけしさんの時代から「養成所をやったほうがいいですよ」という外部からの意見はあったのですが、それでは金儲けになっちゃう。たけしさんも「芸人になりたいヤツから金を取るって、意味分かんねぇよ」と言ってましたからね。その子たちがネタを見せる場として、事務所主催の『お笑いTAP LIVE』も定期的に開催しています。
――枝豆さんも若手のネタに対して意見を言う?
枝豆 基本的には僕が社長として主に事務方をやり、若手の育成に関しては専務のダンカンに一任しています。ただ、軍団は漫才コンビなどとは違う団体芸でしたから、今の若手のネタに対してダメ出しや無理強いみたいなことはしないほうがいいよね、とは話しています。そもそも、僕ら昔の芸人なんて、なんにもできなかったですからね(笑)。でも、今の子は習い事とかをしてるからピアノやバイオリンが弾けたりするし、僕らのときのような貧乏をこじらせたような経験もあまりないんですよ。
――若手の中から、注目株がいたら教えてください。
枝豆 コンビで言うなら『ヒラクカイマ』。漫才もコントもできて、手前みそですけど面白い子たちです。あとはピン芸人の星出篤哉。しゃべりが達者で滑舌が悪い(笑)。バラエティー番組に出られてガヤでハマったりしたら化けてくれるんじゃないかと期待しています。
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土建屋になる寸前だったたけし軍団
――2022年にはYouTubeチャンネル『たけし軍団TV』を立ち上げました。
枝豆 大手プロダクションには敵わないので、地道にやるしかないですからね。当初の目標は登録者数1000人だったんです。どうしても面白いことをやらなくちゃ、という意気込みも特になく始めちゃいました。昔の話をしたり、コントやゴルフに行くなど、行き当たりばったり。まあ、視聴数が取れるのは他のタレントさんとコラボをしたときですかね。あとは記念イベントで回した動画かな」
たけし軍団は2023年3月、「40周年記念公演」を行い大盛況。脱退した大森うたえもん、そのまんま東も登場して初期メンバー10人が勢ぞろいしたことでも話題となり、その様子を流した動画は83万回再生されている。なお、現在の『たけし軍団TV』の登録者数は約8万人。
――ところで、今年は「FRIDAY襲撃事件」からちょうど40年になります。井手らっきょさん、ラッシャー板前さん、そして枝豆さんは参加されなかったわけですね。
枝豆 僕は事件の翌朝、らっきょからの「殿が捕まった!」という電話で初めて襲撃のことを知りました。テレビをつけると、講談社の人が記者会見で、あーだこーだと言ってるのを見て、今度は俺たちが会見場へ突撃するぞ、と準備を始めていたんです。そこへたけしさんから電話があった。「お前らの面倒は一生、見るからよ。悪いけど、今は動かないでくれ」と言われて思いとどまりました。それでもやはり、(一緒に行けなくて)申し訳ないという気持ちは強かったですね。
――で、謹慎期間が始まりました。
枝豆 たけしさんも軍団も、もう芸能界にいることはできないと思っていました。そんなある日、たけしさんが軍団を集めて今後のことを神妙な顔で話し始めたんです。一生面倒を見ると言った手前、どうするんだろうと注目してたら、出てきた言葉は「反社の組を作ろうか?」だったんですよ。俺らは落ちこぼれてるから、それしかねぇだろって。そしてタカに向かい「お前、(銃を)撃てるだろ」と拳銃を構えるしぐさをしてみせた。みんなが呆気に取られているとタカが「はい!」と即答。ウソだろって思いましたね(笑)。ところが翌日、また集められて「あれは考え直した。やっぱり土建屋をやろう」と。みんなで大型特殊免許を取れだの、まずは形から入るんだと言ってニッカボッカやハイネックのシャツ、ポケットがいっぱい付いてるベストや地下足袋を取りそろえたんです。あれは今でも大事にしまってありますよ。
――その後、写真週刊誌への風向きが変わり、たけしさん含め軍団の謹慎が解けるかもという空気になった。
枝豆 余裕ができてきたんでしょうね。たけしさんが「ゴルフでもやるか」と言い出して。誰もやったことなどないのに、ウエアから用具一式全部そろえてもらい、1日2ラウンドを毎日やってました。プレー代も食事代も全部たけしさんです。というか、ゴルフ場では最後に精算するためのカードを渡されるじゃないですか。あれ、打ち出の小づちみたいで、誰かが気付いちゃうんですね。「おい、これで何でも買えるみたいだぞ」って。試しにボールを買ったら大丈夫、次はパターだ、俺はゴルフバッグを…とやっていたら、たけしさんが「なんで今日はこんなに高けぇんだ、この野郎!」ってバレちゃいました。まあ、そんなこんなでギャーギャー言いながらやるんですけど、謹慎中だから他にやることがないのでゴルフはめちゃめちゃ上達しましたね。今でも趣味にできているし、ジャンボ尾崎さんや中嶋常幸さんと一緒に回れる機会にも恵まれて、あのときにできた人脈は宝物です。
