大学生のアイデアが、そのまま商品として世の中に並ぶ。そんな取り組みがあると聞くと、なんだか素敵だなと感じてしまいます。いったいどんな発想から、どんな商品が生まれたのでしょうか。
三重大学の学生たちがインターンシップを通じて挑戦したのは、ただの体験ではなく、実際の商品開発。試行錯誤を重ねながら形にしたのは、ベビースターラーメンで知られるおやつカンパニーとともに、三重の特産品を活かしたユニークなベビースターラーメンでした。
学生の発想と企業の技術、そして地域の魅力が重なり合うことで、一つの商品が完成していく過程には、単なるお菓子づくりを超えたストーリーがあります。さらに、その成果は三重県知事への表敬訪問という形でも紹介され、地域全体で共有される取り組みへと広がっています。
若い世代の挑戦が、地域の魅力と結びついたとき、どんな価値が生まれるのか。その答えのひとつが、今回のプロジェクトに詰まっているように感じました。
“三重”が重なって生まれたプロジェクトのはじまり

三重県で生まれた今回のプロジェクトは、「三重」というキーワードを軸にした取り組みでした。関わっているのは、三重大学の学生たち、三重の特産品、そして三重に本社を構える企業。この3つが重なり合うことで、“三重(さんじゅう)”のコラボレーションが形になっています。
もともとこの取り組みは、商品開発の現場を体験するインターンシップとしてスタートしました。ただ知識を学ぶだけではなく、実際に企業の現場に入り込み、自分たちのアイデアを形にしていく。そんなリアルな経験を通じて、これからのモノづくりを担う人材を育てていくことが目的とされています。
参加したのは、三重大学の生物資源学部に所属する学生たち。普段は講義や研究に取り組んでいる学生が、企業の商品開発という実務の場に入り込むことで、教科書だけでは得られない気づきや視点に触れていきます。
最初は「自分たちが食べてみたい味」といった身近な発想からスタートしたアイデアも、議論や分析を重ねる中で少しずつ変化していきました。誰に届けるのか、どんな価値を感じてもらえるのか。そうした視点を持つことで、アイデアはより具体的で現実的なものへとブラッシュアップされていきます。
そしてたどり着いたのが、「三重の特産品を活かした商品にしたい」という方向性でした。地域の魅力を伝えることと、商品としての魅力を両立させる。そのバランスを模索しながら進められたプロジェクトは、単なる体験にとどまらず、地域とつながるモノづくりへと広がっていきます。
学生、企業、そして地域。それぞれの立場や視点が重なり合うことで生まれた今回の取り組みは、「三重」という言葉に込められた意味を、そのまま体現しているようにも感じられます。
学生の発想が形になるまでのリアルなプロセス

今回のプロジェクトで特徴的なのは、学生たちが商品開発の一部ではなく、その中心に立っていた点です。単なる体験にとどまらず、実際に商品として世に出ることを前提に進められているからこそ、求められる視点や責任も自然と高まっていきます。
アイデア出しは、複数のグループに分かれてスタートしました。当初は「自分たちが食べてみたい味」をベースにした案が多く出ていたものの、検討を重ねる中で、次第に視点が広がっていきます。市場のニーズや商品の独自性といった観点を踏まえながら、どんな商品であれば多くの人に手に取ってもらえるのかを考えるようになっていきました。

そうしたプロセスを経て、いくつかの案が絞り込まれ、実際に試作品として形にしていく段階へと進みます。ここでは、見た目や味といった分かりやすい要素だけでなく、香りや食感、さらには製造ラインへの適合性や季節感といった現実的な要素まで含めて検討が行われました。アイデアとして成立していても、商品として成立するかどうかは別問題であるという点に、学生たち自身も気づいていったのではないでしょうか。

そして最終段階では、商品化をかけたプレゼンテーションが行われます。社長をはじめとする経営層を前に、自分たちの考えた商品について、コンセプトやこだわり、そこに込めた想いまでを伝えていく場です。限られた時間の中で、なぜこの商品なのか、どんな価値があるのかを言葉にする経験は、学生にとっても大きな挑戦だったはずです。
そうした一連のプロセスを経て、最終的に一つの案が選ばれ、実際の商品として発売されることが決定しました。自分たちのアイデアが、議論や検証を重ねた先で現実の形になる。その過程には、学びだけでなく、確かな手応えもあったのではないかと感じられます。
