当時の様子をそのまま見学できる「保存エリア」
奈良監獄ミュージアム は、当時の様子をそのまま残した「保存エリア」、多様な視点からの問いを巡らせる「展示エリア」、余韻に浸る「カフェ&ショップ」の大きく3つのエリアで構成されています。
ミュージアムゲートを入ってまず足を踏み入れるのが、保存エリアとなっている「第三寮」。全96室の独居房が連なる空間はひんやりとした空気に包まれ、思わず背筋が伸びるような感覚を覚えます。
明治政府が司法の近代化を目指して設計・建設した旧奈良監獄は、人権への配慮が取り入れられた当時としては先進的な施設。自然光を取り込む天窓や、風通しを意識した構造などから、そうした工夫を感じ取ることができます。
独居房には実際に入ることもできます。監視窓を備えた重厚な木製扉や、3畳ほどの空間は想像以上の閉塞感です。
旧奈良監獄の歩みを学び、アートに触れる「展示エリア」
【A棟】歴史と建築を知る
展示棟はA棟、B棟、C棟の3つで構成され、A棟では8つの展示室で旧奈良監獄の歩みを日本の行刑制度とともに知ることができます。
1/420の再現模型で紹介する「明治五大監獄」も見どころ
受刑者自らが製造・積み上げたレンガで造られた旧奈良監獄の歴史や、美しい建築の意匠を模型やイラストで紹介。また、1946年に「奈良少年刑務所」と改名してからの、取り組みなどにも触れられる内容になっています。
【B棟】7つのテーマで受刑者の日常を紹介
続いてB棟では、刑務所という特殊な社会での生活を「規律」「食事」「衛生」「作業」「更生」「お金」「自由」のテーマで紹介。デザイン性のある展示を通して、身近な視点で考えることができます。
「規律」をテーマにした部屋では、明治期の刑務所での生活を紹介。起床から就寝、布団の畳み方にいたるまで、厳格なルールを定められていたことが展示を通してうかがえます。
「衛生」をテーマにした展示では、受刑者は清潔を保つこともルールとされ、「トイレに行くには」「入浴時間は」など、刑務所の決まりをグラフィカルに表現。
「自由」をテーマにした展示では、窓の外を見つめる受刑者の姿が目を引きます。B棟の展示を通して管理された刑務所での生活をたどるうちに、どこか現代社会の生きづらさに重なる部分があることに気づかされるはず。「自由とは何か」を、あらためて自分に問いかけたくなります。
【C棟】監獄×アートに触れるかつての医務所を改装したC棟では、「罪と罰」「時間と命」といった普遍的なテーマのもと、5組のアーティスト作品と受刑者による刑務所アートを展示。
まず出迎えてくれるのが、奈良県出身の西尾美也氏による作品「声を縫う」。受刑者が残した「詩」を、200人以上の人々が刺繍した参加型作品です。
作品の内側に入ると、たくさんの声なき声に包まれるような感覚に。
旧奈良監獄に残っていた写真からインスピレーションを受けた、現代アーティスト・三田村光土里氏の「過ぎてゆく部屋」。
ほかにも、服役経験をもとに作品を手がける漫画家・花輪和一氏の原画展示、近代芸術家・風間サチコ氏の巨大な木版画、アートユニット・キュンチョメによる空間作品を楽しむことができます。
締めくくりは、誰かに伝えたい想いをカードに記して特別なポストに託す「むすびの部屋」。ポストに投函されたカードは、壁面に展示されるほか、刑務所へ届けるプロジェクトも進行中です。

