●ユーザーの65%がサーキュレーターを扇風機代わりに使用
象印といえば炊飯器や電気ケトル、電動ポット、水筒、タンブラーなど、キッチン家電のイメージが強いのではないだろうか。だが、同社は加湿器や空気清浄機、ふとん乾燥機など生活家電に属する製品も展開している。
同社が生活家電で掲げているテーマは、『心地よい環境を作ること』。空気清浄機やふとん乾燥機も室内環境や寝具環境を快適にするためのもので、新製品も室内環境を快適にするサーキュレーターだ。
扇風機市場は近年、縮小基調で推移しているものの市場規模は依然として大きい。一方、サーキュレーター市場はエアコンとの併用による節電効果や換気に対するニーズなどにより、象印の推計によると、その市場規模は直近5年間で約2倍に成長しているという。
同社が実施したユーザー調査によると、サーキュレーターの使用目的で最も多かったのは『空気の循環』で、回答者の7割近くが挙げた。以下、『エアコンの効率アップ』『電気代の節約』と続いている。
また、サーキュレーターを扇風機代わりとして使用していると回答したユーザーは65%にも達していることが分かった。
しかし、サーキュレーターと扇風機は似て非なるもの。サーキュレーターの風は直進性が高く、扇風機は広がる風という違いがあり、サーキュレーターの風は体にとって必ずしも快適とはならず、ストレスになることもある。
このような市場やユーザーの利用実態を背景として同社が開発したのが、1台で強く直進的な風とやわらかく広がる風を送り、“サーキュレーターと扇風機の風を操る”というコンセプトの新製品2WAYサーキュレーターRC-AA30(以下、AA30)である。
●独自開発のスマートルーバーで2つの風を切り替え
AA30が1台で2つの風を切り替えられるのは、同社の独自開発によるスマートルーバーを搭載しているからだ。本体に内蔵された7枚のスマートルーバーが動いて、ファンからの風を整える。
スマートルーバーが収納されているときは広がる風を送り、スマートルーバーが立ち上がると風を整流して直進性の高い風を送る。
同社によると、開発当初はファンがつくる風をスマートルーバーが受け流すようにしたが、十分な直進性が出ず、2つの異なる性質の風をどうつくり分けるかに苦心したと振り返る。
試行錯誤を繰り返して一度は開発を中止しようかという話もあったが、最終的にはファンがつくる風を受け流すのではなく、スマートルーバーで絞り込むような構造にした。さらにスマートルーバーの枚数も試作と検証を繰り返して7枚としたことで、2つの異なる風をつくることに成功。この開発には実に約6年もの時間がかかったという。

