5年目の焦り
入社5年目。後輩も増え、中堅と呼ばれる立場になりました。でも正直なところ、自分の居場所がどんどん薄くなっている気がしていたのです。目立った成果はなく、かといって新しいことに挑戦する気力もない。定型の業務をこなし、会議では無難な発言をして、波風を立てない毎日。それを「うまくやっている」と思い込んでいました。
そんなとき配属されてきたのが、あの新人です。会議で発言しない。雑談にも加わらない。昼休みはひとりでお弁当を食べている。つい給湯室で同僚に言ってしまいました。
「おとなしすぎてやっていけない」
同僚が「まあね」と笑い、私も笑いました。
笑いの裏側
心配していたつもりでした。でも振り返ると、あの言葉の裏には別の感情がありました。あの新人が毎日黙々と何かに取り組んでいるのを見て、胸がざわついていたのです。
5年もいるのに、最近の自分は何をしているだろう。資料を右から左に流し、前例どおりの提案を繰り返し、それを「経験」と呼んでいる。あの子のまっすぐな姿勢に、入社したばかりの頃の自分を重ねてしまって、目をそらしたかったのかもしれません。
笑うことで、自分のほうが上にいると確認したかっただけなのだと思います。
