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「あいつは俺が育てた」と言い続けてきた俺に、現職の社長が放った一言で、顔が上げられなくなった夜

「あいつは俺が育てた」と言い続けてきた俺に、現職の社長が放った一言で、顔が上げられなくなった夜

懇親会で並んだ二人

懇親会で彼女と目が合いました。声をかけずに帰る選択肢もありました。けれど、ここで背を向ければ、自分が言い続けてきた「俺が育てた」がその瞬間から嘘になる気がして、足が動いていました。「久しぶりだな、立派になったな」。「俺が育てたって、みんなに話してるんだ」。

そのとき、彼女の横に一人の男性が並びました。現職の社長でした。「彼女を引き抜いた当時のお話ですか」穏やかな声でしたが、目は笑っていません。「前職で通らなかったという企画書を、採用面接のときに全部拝見しました。うちではその九割を通しています」。頭の中で、差し戻し続けたあの企画書の束がよみがえりました。

そして...

「育てるというのは、機会を渡すことだと私は思っています。見抜けなかった側が、育てた側を名乗るのは、少し違うかもしれませんね」。

返す言葉が浮かびませんでした。俺が差し戻し続けたものが、向こうでそのまま通っている。それが答えでした。周りの人たちは黙ったままでした。会釈をしてその場を離れるとき、足元だけを見ていました。

帰り道、タクシーの窓に映る自分の顔を、直視できませんでした。彼女の5年間を、こちらは正当に扱えなかった。その事実は、今さら謝って消えるものではありません。ただこれからは、少なくとも「俺が育てた」とは、もう口にできない。それだけは、はっきりわかった夜でした。

(40代男性・広告業)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

配信元: ハウコレ

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