届いた招待状
業界団体から登壇者一覧の案内が届いたのは、夏の終わりでした。その中に、かつての部下の名前がありました。転職していった後、活躍しているという噂は耳に入っていました。
こちら側はここ数年、目立った仕事ができていません。若手に任せる立場になり、企画書に朱を入れるのが主な役割です。あの頃、彼女の企画書にも朱を入れ続けました。「まだ早い」と何度も差し戻した自分のやり方が正しかったのか。今さら考えたところで答えは出ません。行くと決めたのは、何かを見届けたかったのかもしれません。
客席で漏れた一言
当日、客席から壇上の彼女を見ていました。5年間一緒に働いていた頃の面影はありますが、話す姿はまるで別人でした。紹介されている実績のいくつかは、こちらで弾いた企画に近いものだとすぐに気づきました。
隣の席の知り合いが「優秀な方ですね」と小声で言いました。「あいつは俺が育てた」。気づいたら、口から出ていました。出た瞬間、自分でも嘘だとわかっていました。育てた時間より、押さえつけていた時間の方が長い。それでも、この場で「関係のない人間です」と答えることが、俺にはどうしてもできませんでした。
