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「スーツの会社員がネクタイをほどいて踊り出した」音楽好き元リクルート女性社員が16年住む“トリニダードの魔力”

「スーツの会社員がネクタイをほどいて踊り出した」音楽好き元リクルート女性社員が16年住む“トリニダードの魔力”

「通りすがりの会社員が、ネクタイをほどいて踊り出した」――その光景を目にした瞬間、人生の歯車が大きく動いた。東京で働くごく普通の会社員だった女性は、わずか3カ月後、カリブ海の島国トリニダード・トバゴへと渡る決断をする。あれから16年。なぜ彼女は日本を離れ、“踊る国”に住み続けているのか。

『世界へ飛び出た100人の日本人』より、一部抜粋、再構成してお届けする。

「騙された」つもりで行ってみたカーニバル

プロフィール
トリニダード・トバゴ〈2009年から居住〉
旅行・撮影コーディネーター 森本英代さん
1976年生まれ、女性、香川県→ポート・オブ・スペイン

――もともとカリブ海に興味があったんですか?

はい。10代のころからレゲエが好きで、イベントプロモーターをやったりレゲエマガジンに原稿を書いたり、カリブ音楽に携わっていました。でも、当時はそれで食べていくのは難しく、27歳のときにリクルートに入社して働きはじめました。

――トリニダード・トバゴとはどう出会ったのですか?

リクルートで編集者をやっていたころに友達から「騙されたと思って、一回トリニダードのカーニバルに行こうよ」と誘われたのがきっかけですね。

トリニダードのカーニバルは「世界三大カーニバル」のひとつとしてカリブ音楽好きの間では有名でした(あとの二つはブラジルとイタリア)。当時はカーニバル自体に興味があったわけではなかったので、大して期待もせずに仕事を調整して遊びに行くことにしたんです。

――その結果、どうでした?

毎年訪れるほどハマってしまいました。何万人もが朝から晩まで踊っていて、音楽の生命力があふれる場所でした。

日本の会社員を路上で踊らせる音楽

――毎年訪れていた国に移住しようと思ったきっかけは?

東京で、トリニダードのスティールバンド(ドラム缶からつくられた打楽器スティールパンを中心にしたバンド)のストリートライブを目の当たりにしたときですね。

トリニダードからレネゲイズというバンドが来ていて、2009年の東京国際フォーラムの会場前で無料のストリートライブをやっていました。そしたら、そこを通りかかったスーツ姿の会社員たちが、ネクタイをほどいて踊り出したんですよ!それを見て、「やっぱりトリニダードの音楽の力はすごい!」って実感したんです。人の心を解放するんです。

当時、東京での忙しい生活で疲れていた私も、一瞬でトリニダードにトリップした感覚になり、「もう、これは住むしかないな」と思い立ち、3カ月後にはトリニダードに渡っていました。当時は「合わなかったら日本に帰ってくればいい」くらいの感覚でしたね。

――結果的に16年以上住んでいますが、トリニダードの魅力とはなんでしょうか?

音楽がくれる解放感とポジティブなエネルギーですね。トリニダードの音楽は、基本的にパレードで人を前進させるためにつくられています。低音に背中を押されるような感じで、歩くうちに自然と笑顔でジャンプしてしまうくらいです。

こうした音楽が日常に流れる、ポジティブでピースフルな空間にずっと身を置いておきたいと思うようになったんですよね。

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