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「スーツの会社員がネクタイをほどいて踊り出した」音楽好き元リクルート女性社員が16年住む“トリニダードの魔力”

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旧統治国によって異なるカリブ海の国々

――現在のお仕事について教えてください。

カリブ海全域の29カ所で旅行・撮影コーディネーターをしています。個人や会社からの依頼に合わせてプランを提案したり、場合によっては同行もします。総じて、日本にカリブ海のことを伝える仕事をしているって感じですね。

――森本さん自身が感じるカリブ海の魅力とはなんでしょう?

カリブ海には、さまざまな国があります。私は、各国のその「違い」こそが、とっても興味深いと思っています。

たとえば、旧統治国の違いです。スペイン領だったキューバやドミニカ共和国は、大きな都市がつくられて、そこにヨーロッパの移民が大量に入植したので、いまでも立派な旧市街が残っています。

一方、トリニダードはイギリス領でしたが、ヨーロッパ系の移民は少なく、むしろインド系移民が多いので、インド料理が国民食です。また、同じく旧イギリス領のアンティグア・バーブーダにはサトウキビ農園が多かったので風車の跡が至る所にあったり、オランダ自治領の島には塩田があったり、街並みや文化にも違いがあっておもしろいんです。

――トリニダードにインド系の人が多いのは意外でした。

割合で言うと、いまはアフリカ系4割、インド系4割くらいです。このバランスがよかったのか、トリニダードは歴史的にも民族抗争が少なく、共生意識の強い国だと感じていますね。

「無礼講」は礼儀重視の裏返し

――生活するなかで驚いたことはありましたか?

意外かもしれませんが、気遣いや礼儀作法が大切にされています。役所などの行政施設には短パンやサンダル、ノースリーブでは入れませんし、多様な人種と宗教の人が共存しているので、互いに気を遣い合う場面も多いです。小さな島の中ですから噂はすぐに広まるし、ある意味抑制的な社会です。

なので、トリニダード人にとってカーニバルは「無礼講のお祭り」なんです。礼儀作法や気遣いが大事な点は日本と似ていますが、カーニバルなど、日々のストレスを発散する〝ガス抜き〟の場は日本よりも多いと思います。

――意外でした! そうなると、ひょっとしたら日本人とカーニバルの相性はいいのかもしれませんね……。

スティールバンドの演奏で踊り出す日本の会社員がいい例ですよね。カーニバル期間には「ジュベー」という泥を塗り合うパレードがあって、初参加する日本人は最初は戸惑っているんですが、そのうち見ず知らずの人々と無邪気に泥をかけ合いはじめますよ。

日本人も自分の殻を破り、自由と開放感を味わえるのがトリニダードのカーニバルです。気になった人はぜひ一度、騙されたと思って遊びに来てください!

文/おか けいじゅん
写真提供/森本英代さん

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