今、ゲームセンターが活況を呈している。売上をけん引しているのが、景品獲得を目的としたクレーンゲーム・プライズゲームだ。イオン系列のゲームセンター運営会社イオンファンタジーは、2026年2月期のキッズプライズ部門の売上が前年同期比で18%も増加している。
子供向けのプライズゲームは10円から遊べることが特徴。宿泊費や外食費が高騰する中で、大衆レジャーの受け皿となっているようだ。
超大型ゲームセンター新店の売上は計画比で20%増
イオンファンタジーの2026年2月期のキッズプライズ部門の売上は191億円だった。インフレが深刻化する前の2022年度が82億円。そのころから比べると、売上は2.3倍に拡大している。キッズプライズは、子供でも景品が獲得しやすいような工夫がなされ、10円から手軽に遊ぶことができる。
イオンファンタジーは2025年10月にクレーンゲーム専門店「クレーン横丁 極(きわみ) 」の1号店を栃木県下野市、2026年2月に2号店を千葉県船橋市にオープンした。
2号店は2,400㎡という超大型店で、ゲーム機370台をラインナップ。10円で遊べるクレーンゲームも数多く取り揃えている。1号店は売上計画を10%、2号店は20%それぞれ上回って進捗しているという。
平成時代のクレーンゲームの景品といえば人気キャラクターのぬいぐるみ一色だった。しかし現在は、洗剤やシャンプーなどの日用品からカップラーメンなどの食品、ドリンクといった多種多様なものが並んでいる。
施設の主要なターゲットをゲームやアニメなどのキャラクターグッズ好きの若者から、子供連れのファミリー層に移しているのは明らかだ。景品のニーズが変化していると言い換えることもできる。
2026年2月期のイオンファンタジーのプライズ部門全体の売上は、前年度比8%の増加だった。キッズプライズ部門の18%増という数字がいかに強烈なものかがわかる。イオンファンタジーは子供向けエンタメの好調ぶりを背景に、「ちきゅうのにわ」「のびっこ」などのプレイグラウンドの出店を強化中だ。
ゲームセンターが好調なのはイオンファンタジーだけではない。セガのゲームセンター事業を承継したGENDAは、オープンから一定期間が経過した既存店の2026年度の売上が前年度比7%増加。ラウンドワンも約7%増加した。
これほどゲームセンターが好調なのはなぜなのか。
バイキング形式の観光ホテルでも家族4人で1泊10万円
背景にはインフレによる旅行費や外食費の高騰と、節約意識の高まりがありそうだ。
観光庁によると、2025年の日本人の延べ国内旅行者数は5億5366万人だった。前年比2.5%の増加だが、2024年は8.5%増えていた。コロナ禍前の2019年は5億8710万人だったことを考えると、コロナ禍以降のリベンジ消費はすでに一服しており、旅行の人数そのものは回復しきっていない。
驚くべきは旅行単価の高額化である。2025年の宿泊旅行の単価は7万2273円。前年比4%の増加だった。2019年比で3割(1万7219円)上がっているのである。旅行単価は2022年からの値上がりが顕著だが、価格高騰がリベンジ消費の熱を冷ましてしまったかのようだ。
今や観光ホテルでも、家族で訪れれば10万円前後が普通だ。例えば、「鬼怒川観光ホテル」の公式ホームページでこどもの日の5月5日に大人2人、子供2人で1泊のプランを検索すると、最安のものでも9万1000円を超える。かつて観光ホテルは家族で手軽に泊まれる代表的な場所だったが、4人で1泊10万円の時代に入った。庶民には手が届きづらくなっているのだ。
価格高騰が激しいのはテーマパークも同じである。
オリエンタルランドのテーマパーク事業の2026年度の入園者数は2753万人で、前年度比0.1%の減少だった。2025年1月に東京ディズニーシーの新アトラクション「ファンタジースプリングス」の入場制限が解除されたにもかかわらずだ。
東京ディズニーリゾートは変動価格制を導入し、2023年にチケット代が初の1万円を超えたことは記憶に新しい。有名なテーマパークも家族で訪問するには高嶺の花になりつつある。

