・あまりにタイムリーな一文
さて、私が驚いたのは後半の、ピンクで線が引かれた一文である。
マリコは幸福な生活を送っていますか? 小供はいますか?
なんと、まさに、この手紙が届く3日ほど前に私の妊娠が発覚していたのだ。
40代という年齢的なこともあって子供はほとんど諦めており、妊娠はまさに青天の霹靂だったので、この手紙が届く直前に妊娠が判明したのは奇跡のようだった。
しかし———
・生前の母からの遺言
実は、結婚が遅く母に孫の顔を見せられないことを後ろめたく思っていた私に対して、母は亡くなる前にこんなことを言っていたのである。
「子供は好きだけど、あんたが子供を産む姿だけはなぜか想像できんやった」
「だけん、孫を見せられなかったとかは気にせんでよかよ」
「あんたは子供のころ可愛かったけん、それで十分やったとやろうね」
母は一度も私に対して結婚はまだか、子供はどうするのかと聞いたことはなかった。
しかし母は子供好きだったので、これはおそらく本心ではなく、私が後悔しないように気を遣って言ってくれたのだろうな……というのは感じていた。
