●エントリーからハイエンドまで幅広いモデルで支持を集める
2026年3月に販売されたGIGABYTE製品で特に支持を集めたのが、「B550 GAMING X V2(rev. 1.3)」と「A520M K V2(rev. 1.0)」だ。
「B550 GAMING X V2」は税別平均単価1万1587円のミドルクラス帯に位置するモデル、A520M K V2は同5472円とお手頃価格なエントリーモデルで、初中級者を中心に高い人気を誇っている。
ただ、安いモデルだけ売れているというわけではない。平均単価が3万円を超える「X870E A ELITE WIFI7」が同社売れ筋の3位に入るなど、ハイエンドクラスに位置づけられるモデルも支持を獲得している。
近年はPCパーツ全体で価格上昇が続いており、「価格に見合った価値を提供できるか」が以前にもまして重要となりつつある。どの価格帯であっても価格に対する納得感がなければ、メーカー別シェアはここまで回復しなかっただろう。
●40周年でさらなる飛躍 AORUSの成長がカギ
前述した通り、GIGABYTEは2026年に創業40周年のメモリアルイヤーを迎えている。同社はこれをさらなる飛躍のチャンスと見て、ユーザー拡大のための施策や方針を打ち出している。
消費者への分かりやすいメリットになりそうなのが、メーカー製品保証期間の延長だ。従来は「購入後2年保証」という期間を設定していたが、2025年5月1日以降の購入分からほぼ全現行製品で「購入後3年保証」に延長する。
エントリー層とハイエンド層のそれぞれに刺さる取り組みも見逃せない。
まずエントリー層に向けては、組み立てやすさを重視した「DIYフレンドリー設計」をさらに浸透させていく。近年、同社は工具不要でパーツを着脱できる機構やCPUを装着せずにBIOS更新が可能な機能などを採用しており、さらに訴求していく方針だ。
ハイエンド層に向けては、プレミアムゲーミングブランド「AORUS(オーラス)」を再強化していく。2014年に誕生した同ブランドはハイパフォーマンスや洗練されたデザインを売りにしていたが、競合も高性能モデルに力を入れるなかでポジショニングに苦労してきた。しかし、現在はAIを活用した性能最適化や高速メモリ対応など最先端技術を積極的に取り込み、高付加価値モデルとして再評価されつつある。
実際、2026年3月の同社販売台数ランキングでもAMD Ryzen X3Dプロセッサ向けに最適化された「X3D Turbo Mode 2.0」(AI搭載BIOS機能)を搭載する「B850 AORUS ELITE WIFI7」などが上位にランクインしている。
このほか、技術革新を象徴するモデルとしては、2026年3月26日発売の業界に先駆けてCQ-DIMM技術を採用した「Z890 AORUS ELITE DUO X」が例に挙げられる。ハイスペックモデルながら5万円台という手の届く価格帯を実現しており、注目度は高い。
AORUSは使いやすさにも重点を置いており、プレミアムブランドでありながら、初心者でも性能を引き出しやすいのも特徴。エントリー向けに取り組んでいるDIYフレンドリー設計に共通する部分もあり、他社製品に対する差別化ポイントになっている。40周年を機にさらなるシェア拡大を狙う同社にとって、AORUSの飛躍は重要度の高いミッションとなりそうだ。
ゲーミングに加え、AI時代に需要が伸びている高演算性能を備えたエッジ向け製品のラインアップを拡充していることもポジティブな要因だ。複数のGPUを搭載できる「AI TOP」シリーズから、現場のAI処理に特化した小型ユニット「ATOMシリーズ」まで、幅広いラインアップを提供することで、研究者や企業などの新しい層も開拓しつつある。
同社の直近のシェア回復は単純な価格戦略ではなく、製品ラインアップ・販売チャネル・ブランド戦略が複合的に絡み合ったものであるため、今後も勢いをキープできる可能性は十分にある。それぞれのターゲットに対して明確な価値提案を行えていることは、後塵を拝してきた競合と渡り合う有効な材料となりそうだ。(OFFICE BIKKURA・小倉 笑助)
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