190km/hでバイクでアウトバーンを走っていても音楽を聴けるノイズキャンセリングヘルメット『Beyond GTS/GT』を作ったCardo。ドイツのシュトラウビング(Straubing)にあるCardoの研究所で、Beyond GTS/GTの詳細を取材して来たので、ご紹介しよう。

現地体験レポートはこちら。

アウトバーンを190km/hで走って、Cardoのサウンドヘルメット『Beyond』を体験!
2026年05月08日
Cardo、そしてCSLとは?
Cardoは世界で一番売れているバイク用インカムのメーカー。200人以上のフルタイムスタッフを抱えており、その40%(約80人)がR&Dスタッフという技術重視の会社。異なる38カ国の従業員で構成されており、イスラエル、ウクライナ、オーストリア、ドイツに研究拠点を持っている。
世界で最初にBluetoothインカムを作ったメーカーで、21年の歴史を持つ。

ドイツのシュトラウビングというドナウ川のほとりの歴史ある小さな街にあるCardo Sound Labs(CSL=カルドサウンドラボ)は、Cardoとは違う歴史を辿っており、Alcatel、Nokia、Harman Becker、Harman、Samsungと一緒に仕事をした後、約4年前にCardoの研究所となった。

音響の研究所として36年にわたる独立した歴史を持っており、ポルシェ、BMW、メルセデス、マイバッハなどの音響開発に協力してきた。単なるオーディオの研究ではなく、上質なクルマの中にはどういう音が聞こえるべきか? 車両全体から発生するさまざまな音を制御し、オーディオも含めたトータルでの音響についての知見を持っている。

社内には無響室(Anechoic Chamber)があり、スピーカーやマイクの音響性能を計測したり、製品のノイズ評価を行ったりすることができる。
実際に中に入れてもらったが、一切の反響がないというのは奇妙なもので、自分の声も相手の声も、まったく壁に反響することなく、直接耳に届く。日常では、そのようなことはないのだと思い知らされた。

強力な送風装置もあり、バイクにまたがった状態で、ライダーがどのような風切り音にさらされるのか、測定することもできる。

さまざまな音響の研究開発がこのCSLで行われている。

ANCがヘルメットに搭載される意味
そのCSLが今回作り上げたのがBeyond GTS/GTというオーディオヘルメットだ。CSLはインカムの研究をする中で、そもそもライダーの耳が『爆音』とも言うべき風切り音に晒されていることに気付き、アクティブノイズキャンセリング(ANC)機能の研究に取り掛かった。
ANCとは騒音と逆位相の音を出すことで、波を打ち消し合い、騒音を消す仕組み。 BoseのQuiet Comfortなどで知られるようになったが、一部のヨーロッパ車には以前から搭載されていたし、最近では、AirPods ProやAirPods Maxでも使われるようになり身近な存在になった。

今回の取材では、ゲーハルト所長が、先の無響室の中で、ひとつのスピーカーに、逆位相の音を出す回路をつけたもう一つのスピーカーを対向させ、実際に音が減衰される様子を実演してくれた。
しかし、さまざまな理由から、インカムだけでは騒音を消すことはできないということが分かり、専用のヘルメットを開発する必要性に迫られた。そうして開発されたのが、Cardo Beyond GTS/GTというわけだ。
