動画で観るスイングが弊害を生んでいる
フェードを諦めて、元のドローでやっていこうと思うまでに、ものすごい練習と試合数を費やしていきましたが、何をやってもダメみたいな状況になりました。思い描いたボールが、どうやっても打てなくなると、クラブも毎試合のように替えるし、スイングもいろいろと変えてしまう。でもそれは、調子を崩したなかでの感覚でやっているものだから、まったくうまくいかないんですよね。
今のゴルファー、とくにジュニアなんかはそうですが、まだ体も出来上がってないうちに、スイングを動画で撮って、スローで見て分析しながら、ここをこう動かそうとか、こう直そうとかしていると、逆に体は動きにくくなります。細かな動きを意識しすぎると、スムーズに体を動かせない。それはイップス予備軍になりかねません。若いうちは感性を鍛えたほうが絶対にいいでしょう。
信じられるものがゴルフを強くする

私たちが若いころは、雑誌にスイングの連続写真が載っていてそれを研究しました。今のゴルファーはYoutubeですよね。私も相談されたりしますが、誰がこういったとか、あの人はこういっているとか、いうことがみんな違う。ゴルフが好きで研究熱心な人ほど、いろいろ観てしまって深みにハマりやすくなります。
私なら、片山晋呉プロをお勧めしますね。彼のやってきた経験や実績は裏づけがありますから。実績のない人もいろいろと発信していますが、それが正しければその人もツアーで戦っているくらいになってないとウソでしょう(笑)
ただ、ゴルフの理論は、宗教に似ているところもあって、何が正しいというよりも、誰の何を信じるかなんです。ある種、自分の感覚を抑えてでもそれを信じてやる。「これをやれば救われます」というものがあるかないか。ゴルフは疑いだしたらキリがないから、信じられるものがあるほうが強い。
私は2015年にツアープロを引退しましたが、今でもゴルフはしています。60台前半のスコアが出ることもありますが、私にとって今のゴルフは別物ですね。トーナメントの強烈なプレッシャーや怖さがないものは、ゴルフとは思えない。散歩のようなものです(笑)。それでも楽しいですよ。イップスもほとんど出ませんから。
いかがでしたか? イップスは誰でもなる可能性があるので、なる前に信じられるものを見つけてみてはいかがでしょうか。

解説=神山隆志
●かみやま・たかし
1973年生まれ、東京都出身。プロ入り7年目の2004年、「JCBクラシック」で初優勝し、賞金ランキングも8位とブレイクを果たす。2000年代後半から、深刻なティーショットイップスに陥る。現在は競技からは離れ、日神グループホールディングスの代表取締役社長を務める。
構成=コヤマカズヒロ
写真=田中宏幸

