栃木県上三川町上神主の民家の男性住人から5月14日午前9時28分、「強盗です。家族がバールで殴られた。犯人は駆け足で逃げた」と110番通報があり、県警下野署員が現場に急行。倒れていた住人の会社役員・富山英子さん(69)が近くの病院に運ばれたが、まもなく死亡した。40代の長男と30代の次男も頭部を負傷して病院に運ばれた。県警は現場近くにいた自称神奈川県相模原市の高校生の男(16)の身柄を確保、同日夜に強盗殺人容疑で通常逮捕した。民家に押し入ったのは複数人とみられ、県警組織犯罪対策1課は同署に捜査本部を設置、翌15日には共犯者の16歳少年を逮捕した。
外国人の従業員たち数人も住み込む「ゴボウ御殿」
少年の逮捕容疑は、氏名不詳の者と共謀の上、強盗の目的で同日午前9時23分頃から同28分頃までの間、被害者方居宅に侵入して金品を物色中、富山英子さんの身体を凶器で何度も突き刺すなどして殺害した疑い。
少年は調べに対し「同学年の男に誘われた」などと供述しているという。現場周辺では30代の次男の自宅で4月上旬に窃盗事件が発生し、不審な車やバイクがうろついているなどの通報が相次いでいた。
今月6日にも不審車両の目撃情報があり、盗難ナンバープレートを装着していた車に乗っていた茨城県在住の男(41)を盗品等保管容疑で逮捕しており、捜査本部が関連を調べている。
現場はJR東北本線石橋駅の北東約3キロの農村地帯で、点在する住宅の周囲を田畑が取り囲んでいるような立地だ。富山さん方はゴボウやイチゴの栽培で地域でも知られた存在だったようだ。近くに住む女性が取材にこう語った。
「富山さんのお宅はこの辺では1番手広くやっている農家さんですね。この辺ではゴボウで財を成して家を建て替えたということで『ゴボウ御殿』なんて呼ばれていましたし、周囲からもお金持ちとみられていましたね。最近ではイチゴをメインにやっておられたようですけど。
自宅には英子さん夫婦とご長男夫婦にそのお子さんであるお孫さんも同居していたと思います。あとは農業を法人化していて、外国人の従業員の方たちも数人が住み込みでいらっしゃいます。ベトナムの方だと聞いています」
テレビにも出ていた家が被害に…近所から恨みを買う存在ではなかった
近隣では4月から不審車両の目撃が相次ぎ、回覧板で注意喚起もされていたようだ。別の住民女性がこう表情を曇らせた。
「事件のあった時間帯に、近くで軽自動車がずっとクラクションを鳴らしていたので、その車の運転席にいた女性に事情を聞くと『黒ずくめの人が走り去るのを見たので、ただごとではないと思い、ご近所に知らせようと思ったんです』と興奮されていました。
この時は強盗事件とは思わず、一度自宅の方に戻ると納屋から黒ずくめの人が出てきて畑の畦道から神社の方に突っ走って行ったんです。後から富山さんのお宅に強盗が入ったと知り、その容疑者のうちの1人だったのだろうと思いましたが、正直怖くてしかたありません。逃げている人を見たのは一瞬の出来事でしたし、詳細はわかりませんが男性というのはなんとなくわかりました。
富山さんのお宅は、10年以上前にサラダゴボウが流行った時に利益を出されて家を建て替えたこともあって『ゴボウ御殿』と呼ばれていました。普段派手な生活をしているわけではないですが、その頃取材を受けてテレビに出ていたりしたので目立っていたとは思います。以前は趣味で自宅の敷地内にカラオケ道場まで作って、一時期は町の人たちに使わせてくれていたこともありましたから」
いずれにしても、近所から恨みを買うような存在ではなかったということだ。女性が続けた。
「英子ちゃんも物静かだけど明るくてとても優しい方でした。ここ1年くらいは喘息が出たりお体を悪くしていたようで、寝込むほどではないですけど家で療養していたと聞いています。不審車両については横浜ナンバーだったという話は聞いていますし、私自身も4月中旬に富山さん方の近くでバイクに乗った不審な若い男性を見ています。
バイクにまたがって何をするでもなく、仰向けに寝転ぶようにして日向ぼっこみたいにしてずーっといたんですよ。あとこの1週間は富山さん方は昼間から雨戸も閉め切っていたので、警戒感を強めているのかと思っていました。そんな中、こんな事件が起きたのでやっぱり富山さんを狙ったんですかね……」

