熊本地震から10年、東日本大震災から15年。日本は南海トラフ、日本海溝・千島海溝沿いなど、いつどこで巨大地震が起きても不思議ではない状況にある。その意味では、三陸沖で発生した巨大地震は、悪夢の始まりかもしれないのだ。
4月20日午後4時52分ごろ、三陸沖を震源とする最大震度5強、M(マグニチュード)7.7を観測する巨大地震が発生。北海道と東北地方に津波警報が出され、岩手県の久慈港で80センチの津波を観測した。
東日本大震災と同じプレート境界で発生 専門家が警鐘を鳴らす
サイエンスライターが、次のように分析する。
「この地震は太平洋プレートが日本列島側のプレートに沈み込む境界で起きた逆断層型のプレート間地震です。三陸沖は典型的な海溝型地震が多く発生する地域であり、今回の地震は東日本大震災と同じプレート境界上に位置します。震源の深さは約19キロ。浅いプレート境界での破壊は揺れが激しく、津波が発生しやすい。今回も40〜80センチの津波が観測されています」
それにしても、なぜここにきて大きな地震が続くのか。
三陸沖は1968年の十勝沖地震(M7.9)、1994年の三陸はるか沖地震(M7.6)など、M7〜8級の大地震が繰り返し発生してきた地域だ。
「プレート境界の固着域周辺で地震活動が活発化していました。今回のM7.7は、蓄積した歪みが限界に達し、固着していたプレート境界が破壊され結果、起きたと考えられます」(前出・サイエンスライター)
気になることがある。東北大学の研究によれば、M7.5以上の地震が発生した場合、震源から200キロ以内の火山の噴火の頻度が約1.5倍になるという。今回の地震はM7.7であり、岩手山と震源の距離は190キロというから、今後は注意深く見守った方がよい。
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大地震を誘発するスロースリップは昨年末から兆候が続いていた
地震学者で武蔵野学院大学特任教授の島村英紀氏が、こう警鐘を鳴らす。
「17世紀には千島海溝沿いで超巨大地震が発生しています。当時、北海道で発生した地震の記録は京都にしか残っておらず、現在確認できる規模も津波の堆積物の分析から判断したものです。次の超巨大地震がいつ来るかは、現時点では分かりません」
実際、津波堆積物を分析すると、過去に東日本大震災級の津波が繰り返し発生していたことが分かっている。
地震調査委員会によれば、根室沖と十勝沖の領域が同時に破壊された場合、M9クラスの超巨大地震になるとみられる。
こうした超巨大地震は、約340〜380年に1回の間隔で発生してきたとされ、今後、今回の地震で破壊されなかった領域が動く可能性もある。いずれにせよ、大地震が続発する危険性は高まっている。
さらに注目すべきは、スロースリップと呼ばれるプレート境界がゆっくりとずれ動く現象が観測されていることだ。これが地震を誘発する要因になる恐れがある。
「一般的な地震は断層が一気にずれて強い揺れを生むが、スロースリップは数日から数カ月、場合によっては数年かけてじわじわと動くため、人が感じるような揺れはほとんどない。しかし、地下では確実にエネルギーの移動が起きており、地震活動に影響を与える重要な現象となっています」(前出・サイエンスライター)
政府の地震調査委員会によると、昨年末ごろからスロースリップを伴う地殻変動が断続的に観測されていたという。
では、スロースリップが起きると、なぜ大地震が発生するのか。
「スロースリップが起きると、その周辺のひずみがたまっている固着域に急激な負荷がかかり、圧力が集中します。そして、耐えきれなくなった隣の領域が破壊され、大地震が発生するんです。日本海溝・千島海溝沿いで巨大地震が起きた場合、続けてM7以上の大規模地震が発生する可能性が高まります。実際、東日本大震災の2日前には、M7.3の大地震が三陸沖で発生しています」(同)
