「ごめんね、何も考えずに言ってた」
席替えの時間に、友人が隣に移ってきました。「すごいね、見違えた」と彼女は笑いました。「ありがとう」と返すと、彼女は声を落として、結婚して子どもがいること、最近はパートで事務をしていることを話してくれました。会話の合間に、彼女はふと顔を上げて言ったのです。「高3の時の文化祭のあれ、覚えてる?」。私は迷わず「覚えてる」と答えました。「ごめんね、あの時の私、何も考えずに言ってたんだと思う」。不思議なことに、怒りは湧きませんでした。そう、何も考えていなかったんだ、と納得が広がりました。
そして...
帰りの電車で、窓に映る自分の顔を見ていました。あの教室で笑われた18歳の自分が、ようやく報われた気もしましたし、そうじゃない気もしました。「何も考えずに言ってた」という彼女の言葉は、悪意よりずっと怖いのかもしれません。私自身も気づかないうちに、誰かに同じことをしていないだろうかと、急に怖くなりました。
翌朝、私は彼女に短いメッセージを送りました。「昨日はありがとう。元気でいてね」。返信はまだ来ていません。それでも月曜日のミーティングを思い浮かべながら、私は朝食を作り始めました。
(20代女性・人材会社)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
