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プロバスケチームがなぜ「こども食堂」を?ハピネッツが育む、親子の“第3の居場所”

プロバスケチームがなぜ「こども食堂」を?ハピネッツが育む、親子の“第3の居場所”

Bリーグ・秋田ノーザンハピネッツが運営するこども食堂「みんなのテーブル」は、秋田県初、そして国内のプロスポーツチームとしても初となる先駆的な“常設型”のこども食堂だ。注目すべきは、食事の提供だけではなく、誰でも安心して立ち寄れる“第3の居場所”として日常に組み込まれている点にある。

なぜ、勝敗と直接関係のない「こども食堂」をプロバスケットボールチームが持つ必要があったのか。運営の背景、継続の仕組み、利用者に起きている変化、そして地域へ広がる手応えを、秋田ノーザンハピネッツ株式会社で「みんなのテーブル」を担当する小原諒平さんに聞いた。

プロクラブが“食卓”を持つ理由

スポンサーの企業や地域の農家から提供された地元食材を使った料理が並ぶ。レシピは管理栄養士によるもので栄養バランスを考慮。ただし食材はその日に届くものによってレシピを変更することもあるようで、しっかりと手間ひまがかけられている

プロスポーツチームとして画期的な取り組みであるこども食堂「みんなのテーブル」。出発点は、いわゆる“社会貢献のための企画”だけではなかった。小原さんはまず、クラブの内側にあった課題を語る。

「もともとは、クラブとして、選手にちゃんとした栄養のある食事を提供したいという思いがありました。ただ、バスケはスポーツチームの中でも選手やスタッフの人数が少ないので、そこだけのために整備するのがコスト面でも大変で、なかなか進まない事情がありました」

一方で秋田には、別の課題がある。全国的にこども食堂が増える中で、秋田県ではまだ十分に広がっていない現状があり、利用したくても「行きづらい」という声もあったという。そこで浮上したのが、“県民球団”を掲げる秋田ノーザンハピネッツのスポーツで地域を盛り上げるというミッションとの共通点だった。

「スポーツチームがやることで地元との連携や地域を支えることができる。僕らはプロバスケットチームですが、エンタメ・娯楽を主流にしているので、こども食堂の行きづらいというイメージを“明るく楽しい”ということにアップデートできるんじゃないかと。だとしたら我々こそやる意味がある、というところで始まったのがきっかけです」

常設の「みんなのテーブル」は2021年10月に開店。当時はコロナ禍で、社会貢献活動に助成金が出る制度があった。初期費用のかかるこども食堂だからこそ、「採択いただけた」ことが大きかったと振り返る。

「常設」する地域への思い

まるでカフェのような明るい雰囲気の店内。明るく楽しい「みんなのテーブル」のコンセプトを具現化している

「常設」という形は、運営側の負担が大きい。それでも小原さんたち秋田ノーザンハピネッツが常設にこだわったのは、支援を“点”ではなく“面”にしたかったからだ。

「単発が意味がないとは決して思っていないです。単発でもすごい集結力で子どもの居場所づくりになっている団体さんはたくさんある。ただ、一人親家庭を支援したいとなると、なるべく多く営業することで、気軽に寄って生活の一部の助けになってほしいと思いました」

「みんなのテーブル」を、“支援を受けに行く場所”ではなく、“いつでも立ち寄れる場所”へ。だからこそ空間づくりにも工夫がある。居抜き物件でコストを抑えつつ、照明を増やし明るい雰囲気をつくる。象徴的な大きなテーブルは、明るく楽しい食事をという思いから「みんなで囲む」体験そのものを形にした。

こども食堂“みんなのテーブル”秋田ノーザンゲートスクエア店にて行われた「髙比良寛治選手と長崎ちゃんぽんを食べよう!」の様子。和気藹々とした雰囲気の中、髙比良選手の地元の名物である「長崎ちゃんぽん」を参加者と一緒に食事をした

加えて、居心地よく通いたくなる雰囲気をつくる上で大切なのは「会話」だという。「みんなのテーブル」では中学生以下が無料という側面によって、世間体を気にしたり、心理的なハードルが生まれてしまうことがある。そこで小原さんたちが重視しているのが、子どもたちとのコミュニケーションの蓄積である。

「子どもたちがまた来たいと言ってくれれば、保護者も使いやすいと思うので、対話をすごく大事にしています。ボランティアの方や学生スタッフにも、誰とどんな会話をしたかをメモしたり、次の会話に役立てることをしています」

訪れる子どもは、人見知りの子もいるという。そんなときは、好きな授業や食べ物の話から始めたり、宿題を手伝うことも。小さなやり取りの積み重ねから信頼が生まれ、「また行きたい」へと変わっていく。

「みんなのテーブル」ができて4年半。来客は1日平均30人、総来店者数は2万人を超え、リピーターだけではなく新規の方でも気軽に利用する方が着実に増えている。

配信元: パラサポWEB

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