
疲れている夜に、気晴らしとして映画を見ようとしている状況を考えてみてください。
いつものように自分の気分に合った映画を選ぶのが難しいのが分かると思います。
そういった時には、友達のオススメやレコメンドに従って映画を選んだ方がいいかもしれません。
しかしオランダのラドバウド大学のパトリシア・ベルドゥーゴ氏(Patricia Verdugo)らの研究チームは、他の人に選択を任せるのではなく、自分で選ぶことで、よりいっそう興味が強まることを報告しています。
この研究結果は、教育や職場などの、好奇心を強めるのが重要な場面で有用である可能性が期待されています。
研究の詳細は、学術誌「Psychological Science」にて2022年10月26日に掲載されました。
目次
- 自分で選ぶ vs 自分で選ばない
- 好きな方でも自分が選んでいなければ興味が弱くなる
- 自分で選択すると顕在・潜在的な興味が高まる
自分で選ぶ vs 自分で選ばない
自分で選んだ方が自分で選ばなかった場合よりも興味を強く持ちます。
しかし過去の研究では、自己選択が興味を高める現象において事前の好みの影響を検討できていませんでした。
そこでラドバウド大学のパトリシア氏らの研究チームは、オンラインで募集した一般人118名を対象に、事前の好みを尋ねたうえで、自己選択と興味の関係性を検討しています。
この研究の面白い点は、自分が求めていた体験を自分が選ぶのではなく、他者が選んで経験する場合には、興味の強さがどう変化するのかを調べているところです。
最終的に自分が望んでいた選択を取れるのであれば、自己選択は必要がないようにも感じます。実際のところはどうなのでしょうか。
実験では、青と赤色のビー玉が複数入っている、2つの箱のうち、1つを選んだうえでビー玉を引き、より高いポイントのビー玉を集める課題を実施しました。
箱の選択は全部で116回行い、毎回箱の中の青と赤色のビー玉の数とポイントの大きさが変化します。

まず実験を開始する前に、参加者たちを、箱の選択を自分でするグループと、自分でしないグループの2つに分け、事前にどちらの箱からビー玉を引きたいかと、ビー玉を引いた後の結果に対する興味の強さを回答してもらいました。
また最後のビー玉の結果の表示のところでは、結果の不確実性が興味与える影響を調べるために、結果が表示されるときと表示されない時がありました。
この実験では、ゲーム内でより多くのポイントを獲得できれば、実験への参加報酬金額が増えました。そのため、より多くの報酬を得るためには、箱の中の期待値(獲得できると期待できるポイントの大きさ)がより高い箱を選びビー玉を引く必要があります。
さて自分で選択するか否かによって興味の強さに違いはあったのでしょうか。
好きな方でも自分が選んでいなければ興味が弱くなる
実験の結果,自分でビー玉を引く箱を選んだ場合には、選ばなかった場合と比較して、引いたビー玉の結果に対し強い興味を抱く傾向が見られました。

この実験では、顕在的な興味に焦点を当てたのに対し、後続の実験では、結果が待ち遠しいかという潜在的な興味に着目し、同様の実験デザインで検討を行っています。
実験の手続きは最初の実験と同様で、大きな違いは最後にビー玉の得点の結果が「待ち遠しい」かどうかを尋ねています。
実験の結果、選ばなかった場合と比べて、自分でビー玉を引く箱を選んだ場合には、より結果を待ち遠しいと思う傾向が確認されました。

これらの結果は、最初に自分がビー玉を引きたいと思っていた箱を引いたとしても、自分が選んでいなかった場合には、興味や待ち遠しさが弱くなってしまうことを意味しています。
つまり自分で選ばず、友達の紹介やレコメンドによって視聴した映画は、たとえ内容が自分の好みと合ったとしても、興味・関心は薄くなっており、内容を楽しむことができない可能性があるのです。

