島の少女が身につけた「誰にも埋もれない生き方」
――川越さんの“強さ”はどこからきているのでしょうか。
私は祖父母に育てられたのですが、実は小中学校の頃はいじめに遭っていたんです。
でも、島で商店を営む祖父母には心配をかけたくなくて。“私は大丈夫だよ”と安心させたかったので、中学生の時には、陸上大会に本気で打ち込んで、記録を全部塗り替えたことがありました。
以来、高校に入ってから少しずつ自分を出せるようになっていって、島のイベント企画など、学校外の活動にも積極的に関わるようになりました。
高校生なのにすべて自分で企画し50万円ほどの島の予算を預かって、人を集めてイベントを黒字で終わらせたことも……。
いま思うと、あの頃の経験が、現在のイベント活動や“自分をどう見せるか”を考える感覚につながっている気がします。
――調理師免許に加え、「野菜ソムリエ」「船舶免許」など多彩な資格を持ち、SNSでも独自の存在感を放っていますね。当時から戦略的だったのでしょうか。
そうかもしれません。いま料理イベントに力を入れているのも、ファンの方に『料理人の川越にこ』をちゃんと見てもらえる場所を作りたいという狙いがあります。
資格をとって、さまざまなことに挑戦している、みんなが簡単にはできないことを武器にしたいからなんです。
実際、ファンの方は経営者や料理好きの方、そして女性も多くいらっしゃいます。
単にセクシー女優としての私のファンなだけでなく、私が何かに挑戦し、努力する過程そのものを応援してくださる方が多いのは、本当にありがたいことだと感じています。
――身バレを防ぐためあえて出身地を公表しない方も多いですが、八丈島出身であることを公表した際、周囲の反応はどうでしたか。
島はコミュニティが狭いので覚悟はしていましたが、戸惑いや心配の声も多かったですし、距離ができてしまった関係もありました。
それでも、私の中では“隠して続ける”という選択肢はなかったんです。
どこで生まれ育ったかも含めて自分。隠すくらいなら最初からやらないほうがいい。背負ってやっていく姿を見せれば、いつか応援に変わると信じていました。
すると最近では島の人たちも誕生日を祝ってくれたり、八丈島関係の釣りのお仕事をいただけるようになったりして、地元の方に応援されている実感があります。勇気を持って公表して良かったです。
――最後に、今後の目標を教えてください。
ずっと変わらない目標は、“オーベルジュ(宿泊施設付きレストラン)”を作ることです。
単に料理を出すだけでなく、食材の調達、空間づくり、そこに箏や書道のパフォーマンスも絡めて、場所自体を一つの『体験』にしたい。
今やっている活動や資格も、私の中ではすべてオーベルジュという夢に向かって一本の線で繋がっています。
最終的には『川越にこが作るものだから行きたい』と思ってもらえる存在になりたい。場所や肩書きに縛られず、自分の軸だけで仕事ができる人になれたらいいなと思っています。
取材・文/逢ヶ瀬十吾(A4studio) 撮影/井上たろう

