栃木県上三川町の民家で5月14日に住民の69歳の女性と愛犬が惨殺された強盗殺人事件。現場周辺で事件前に複数回目撃された黒い軽自動車が、3月に東京都新宿区百人町で起きた窃盗未遂事件でも使われていた可能性が浮上した。百人町で狙われた酒店は4月にも男らに襲撃されており、警視庁はこの強盗未遂事件で6人を逮捕した。3月と4月の百人町の事件と上三川町の強盗殺人に接点があったとみられ、警視庁などは背後にいるトクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)の解明を急いでいる。
「犯行グループの上部で指示を出した者たちには接点がある」
4月7日に起きた百人町の強盗未遂事件では、酒店に配達員を装って侵入した男らがクマよけスプレーを噴射するなどして金を奪おうとした。
警視庁は強盗未遂容疑で栃木県矢坂市の安達慎哉容疑者(20)や高校生2人など計6人を25日までに逮捕。「上部」からの手配で一味が構成され犯行に及んだ「トクリュウ犯罪」とみて経緯を調べている。
「襲われた店では3月にも窃盗未遂事件が起きており、そこで使われた車が、上三川町で強盗殺人事件の発生前に何度も目撃された軽自動車に酷似した車でした。
警察当局は3つの事件は同一のトクリュウ組織が別々の実行グループを組織して実行させたか、複数の組織がターゲットの情報を回し合う中で別々の犯行グループが襲ったとみています。いずれにせよ、犯行グループの上部で指示を出した者たちには接点があるとにらんでいるようです」(社会部記者)
いまのところ百人町の2つの事件は別々の実行部隊が行なったとみられているという。
警察当局はトクリュウ専従チームを擁する警視庁を中心に広域捜査体制を取り、23日に安達容疑者を自宅で発見するなど身元が割れた関係者の身柄確保を急いでいる。
「牛屋さん(牧場)でアルバイトを一生懸命やっていました」
逮捕された安達容疑者は牧場で朝夕に搾乳のアルバイトをしていたという。繁華街の百人町を舞台にした逮捕容疑とは結び付かない毎日を送っていたはずの安達容疑者のことを母親が涙ながらに話してくれた。
「体が震えちゃって、何が何だかさっぱりわからない、嘘だよね。慎哉はヤンキーじゃないです、本当に。いやもうショックで……。
あの子は小中学校でも問題を起こしたこともありません。高校を卒業してから温泉に就職をしましたが、人間関係が原因で数ヶ月で辞めてしまい、すぐ後から高校の友達の紹介で、牛が百頭くらいいる牛屋さん(牧場)でアルバイトを一生懸命やっていました。
もう2年くらいになるよね。悪い交友関係とかそういう話は全然ないです。反社との付き合いとか、絶対ないです」(母親)
そんな安達容疑者は新しい仕事を見つけたばかりだったという。
「(牧場では)毎朝5時から9時半までと、夕方4時から8時半か9時半まで働いていました。手取りは15万とかで、毎月の支払いは車のローンや携帯代、保険とかで大体7万ですね。お金に困っているとかそういうのは……。ない時には『ない』っていうもんね。払えなかったから父親に出してもらって、消費者金融とかクレジットカードの督促状とかは来ていないと思いますよ。
それで今月30日に宇都宮のそばにオープンするガールズバーで店舗責任者として働くことが決まってたんですよ。息子に仲のいい友達がいて、その彼が知り合いの(ガールズバー経営の)会長さんに息子が会うと人柄を褒められたらしくて、その場で採用された感じです」(母親)

